基調講演3 吉村正氏
「ティーボール元年、ティーボールのすすめ」というタイトルで、ティーボール協会の役員の皆さんから一回ぐらいは
基調講演をするように言われましたものですから、いやいやながらまた大変光栄だとも思い複雑な気持ちで、今
日のこの時間を迎えました。
 日頃は、全国各地で皆様方といろんな立場でお会いさせていただき、ティーボールのご指導心から感謝申し上
げたいと思います。今日のティーボール元年のタイトル、「なんでや」と言うふうに考えますと「3つぐらいあるかな」
と思っております。
 その1つは、今年の4月から小学校3、4、5、6年生の間でティーボールが正式にプレイできるようになります。
これは奇跡的なことです。歴史的なことだということをこの場を借りて強調させていただかなくてはならないだろう
と思いました。
 もう何百回も話しておりますが、ティーボールというのは、「いつでも、どこでも、だれでも」手軽に笑顔で楽しむ
ことができます。20分、30分でゲームが終わる。体育館や運動場でゲームができる、小学生だけでなくて60、70
80、90歳の人でもティーボールはできる。かなり重いハンデがあっても介護者があればティーボールはできる。
これがものすごい魅力なんです。
 野球やソフトボールのできない人達が野球やソフトボールをやっている。「気持ちええな」って楽しめるボール
ゲーム。このティーボールが、文部科学省に大変な影響を持たれる海部俊樹先生や松浪健四郎先生のお力で、
いよいよ今年スタートすることになったのです。ですから今年は、「ティーボール元年」と言って何らおかしくないと
思っております。そのいいタイミングで『ティーボールのすすめ』がベースボールマガジン社からでました。これは
今のティーボールの現状であるとか、インターネットでアクセスすればこういうものが見られますよとか、ティーボー
ルのテーマ曲もありますよ、と全部我々は皆さんの力をお借りして作り上げてきたわけですけれども、現状での
報告もあります。幼稚園児を指導したティーボール活動もここには書かれていますし、小学校低学年、中学年、
高学年と、それぞれにあわせた指導法も書かれています。また、養護学校での知的障害者や身体障害者を指導
するノウハウも書かれています。この原稿を書かせていただいたのは、すべて我々の仲間です。たまたま荒川博
副会長、丸山克俊専務理事、私の3人が編著者になりましたが、この3人に加えてあと10人、計13人で書きまし
た。今の日本のティーボールの本としてはバイブル的存在であると思います。
 2つめが、荒川博野球塾スタートです。去年の第8回日本ティーボールセミナーの夕刻の後、海部俊樹先生から
もお話がありましたように「荒川博野球塾発足パーティー」を大々的に椿山荘でやらせていただきました。会場は
溢れんばかりでございました。長嶋さん、王さんはじめ、川上さんまでお越しいただいて、海部会長から鳩山邦夫
東京都連盟会長までお越しいただいて、およそ600名という大変な数の参加者で賑わいました。その日スタートを
きりまして、1年経ちました。多くの事業をやって参りました。6つばかり申し上げますと、1つめは、ティーボールの
小学生全国大会を西武ドームで行いました。予選会にも荒川先生に行っていただきましたし、本大会の西武
ドームでも全国から集まられた20数チームの子供達に対して情熱的にバッティングの指導をしていただきました。
2つめは、関東健康福祉ティーボール協会を上井草で行いました。知的障害者の方、身体障害者の方、また東京
都のティーボール愛好者の皆様600名程を相手に見事な指導ぶりでございました。また、養護学校等に実際に
行かれて指導されたことは、言うまでもありません。3つめは、ティーボールセミナー、関東のセミナー、講習会
教育委員会から呼ばれての指導、ライオンズクラブからお呼ばれされたこともありました。全国各地に行かれまし
て、荒川博を余すところなく語られまして、実技指導をきちんとなされました。4つめは、日本ソフトボール協会の
専務理事の井上敏先生にお見えいただいておりますけれども、その先生を中心に銀メダルフォーラムというものを
全国でやられました。滋賀県盛山では3000人ぐらいの子供さん、プレイヤーを集めて8月の炎天下の中でおやり
いただいたり、12月は北本市制30周年を記念してオリンピック選手10名前後お越しいただいて、両方とも宇津木
全日本監督に来ていただいて、そこでソフトボール、野球の愛好者に対してバッティング指導をいただきました。
5つめは、『生まれ変わるバッティング』という本を荒川先生が昨年出版されまして、榎本さんを指導されました、
王貞治さんを指導されました、「ホームランを打つためのノウハウを20、30ページに渡りお書きいただき、さらに
その原稿を、英語に翻訳致しまして、現在世界に発信しているところでございます。6つめは、荒川博野球塾の
ホームページです。(資料を見せながら)この分厚い資料を見て下さい。これは荒川博先生のホームページを
プリントアウトしたものです。これほどの活動を地道にこの1年間、荒川先生を軸にしてやらせていただいて、この
荒川博野球塾の窓口を日本ティーボール協会がいただいているということもありまして、これもティーボールの
元年にふさわしいでき事だったのかなと思っております。
 3つめ。これは、NPO法人「日本ティーボール協会」が法人格を取ったということです。昨年までは任意団体で
あって、すべての人がボランティアでありました。NPO法人を取っても、我々はボランティアであらなければならな
い、というふうには思っておりますけれども、法人を取りますとその法人の維持、運営をしなければいけないという
デューティーが起こります。これから何十年とこの法人を守っていかなければならない、営利活動もしないと
いけない、補助金や助成金をもらいやすくなったと言えどもなかなか貰えない。これからそういうシビアな協会
運営に立ち向かっていかなければならない、というふうに思っています。同じように、昨年、一昨年の間に東京都
日本協会だけではなくて、末次さんいらっしゃいますけれども熊本が一番最初にティーボールでNPO法人をお取り
いただきました。その後神奈川県も兵庫県もお取りいただいて、各連盟ともに今悪戦苦闘しているのではない
だろうかと考えたりしております。
 この私の話は中級公認指導者認定講習会においては、ベースボール指導論と位置付けられていて現状を
述べるだけでは何のために出てきたのかということになりますので、ティーボールで指導するためにはどうしたら
よいかということをわがままではありますが5点ばかり用意して参りました。
 ティーボールを指導する場合、ティーボールをとことん好きになること、心底好きになること、ティーボールを徹底
的に愛すること、これが一番大事であると思います。皆さんがそうであるように、なぜ北海道や沖縄から来られる
のか、スタンフォードから来られるのか。野球が、ソフトボールが好きだからです。だから底辺を拡大するために
ティーボールを愛するんです。そしてティーボールに関係する人、ティーボールをジャッジする人、運営する管理者
プレイする人達、ハンデのある人々徹底的に好きになる。好きになられて困る人はそういないだろうと思います。
私は世界で一番ティーボールを好きになりたいと思います。
 好きになりますとティーボールをプレイする場、物を好きになってくる事が大事になってきます。ティーボールを
する体育館が好きになる、ソフトボール場、野球場、サッカー場、校庭を大事にしようと思うようになると思います。
そして、ティーボールの3点セットであるボール、バット、バッティングティーを愛するようになる。徹底的に施設や
用具を大事にして欲しいと思います。人と物を大事にしたならば、技術がついてきます。好きになるわけですから
グラウンドに誰よりも先に出たくなる。そうすると誰よりもうまくなりたくなってくるでしょう。そして、ちょっとうまくなる
と荒川先生にバッティング指導を教えてもらいたくなる。高橋さんにピッチング指導をしてもらいたくなる。こういう
ふうにして技術を高まらせるようにすることが大事であると思います。まず、ティーボールの指導者にはティーボー
ルを徹底的に愛して欲しいと思っています。
 そして、組織とチームの目標を正しく把握して欲しいと思います。まず、組織からいきましょう。NPO法人をできる
だけ多く取って下さい。一生懸命やられているところがたくさんあります。「よし、取ろう」ということになれば、いつ
でも応援に行きます。是非協力して取りましょう。そして多くのところからNPO法人をとって、そこでコンペティション
をやりましょう。そうすると組織は伸びると思います。
 また、ある人の目標が野球、ソフトボール、ゴルフの底辺の拡大でティーボールを普及させていこうというのなら
これも見事だと思う。黙々とその目標を持ってやったらよろしいと思います。
 今日このセミナーを開くために、早稲田大学のソフトボール部員が80名ぐらい手伝ってくれています。女子が
40名、男子が40名。私は総監督という肩書きをいただいています。もう監督という肩書きがついて25年ぐらいに
なりますが、男子と女子とでは目標が違うのです。「男子は世界で勝てる」これが目標なのです。来月、ワールド
シリーズのハワイ予選に行きます。それで勝って来ます。そうすると、8月にワールドシリーズがオレゴンでありま
す。日本の代表は普通行けないのですが、我々はハワイ州代表として参加します。常に世界を見るという指導
をしています。
 皆さんが見ると、ボーっとしてみえる若者ですが、目標だけは持たせ、そして一生懸命やってます。これからの
若者は、世界を見なくてどこを見るんだということ。日本でチャンピオンになるよりも、世界でチャンピオンになること
が大事だと思っております。早稲田では、そういう大望を抱く若者を育てたいと考えております。
 女子はどうでしょう。女子が今ワールドシリーズに行こうとした場合、40人いる部員が5人になってしまいます。
そんなきつい指導しないで下さい。楽しくやりたいのです。もっと勉強をやりたいのです。デートもしたいんです。
こう言ってくるんです。私は部員の人数で勝て。笑顔で勝てと言っています。40名集まると笑顔が出てきます。
声で勝て、とも言っています。
 今、東京六大学で女子ソフトボール部を持っているのは早稲田だけです。それほど、女子のソフトボールチーム
を持つ、ということは難しいことなんです。30人〜40人の部員がいて、打つ喜び、投げる喜び、捕る喜びを味わっ
てくれたら、その子達が男の子を産んでキャッチボールをさせると、野球・ソフトボールの底辺拡大につながりま
す。10年、20年、30年スパンで考えなきゃならないことだってあるんです。それなのに女子ソフトボール部は全日
本大学選手権に出てしまったんですよ。すごいビックリしました。一回戦で関西のチームと当たりました。どう
見ても、40対完全試合の力の差があるんです。試合の1ヶ月前に私は部員を集めて、「20対1安打にしよう」と
いいました。40点を取られるのを20点に抑えて、完全試合になるような試合をフォアボ−ルか1安打打つように
しようと言いました。ものすごく盛り上がりました。最終的に12対0、2安打。すごいでしょう。早稲田が勝ったつもり
で喜びました。(笑)
 ちょっと恥ずかしいことかもしれません。でも、目標を持って投げる、打つ、捕る、走るという野球の基本技をソフト
ボールを通して教える。これは指導者冥利につきます。ですから指導者というのは、組織とチームの目標を正確
に把握しておくことが極めて重要ではないかと思います。
 3つめは情熱と優しさです。若い頃は理論なんて十分ありません。私だって大したことはありません。荒川先生
から見れば、「月とすっぽん」で比較にならない。同じステージには立てません。でも競争できることは情熱です。
情熱は負けないつもりです。愛することは勝手ですから負けなければいいんです。
 4つめは誉めること。そして、叱る時は冷静に叱る、ということです。日本人は誉めるのが下手。そうでしょう。
その点マーティーキーナーさんなんかどんなに誉めるのがうまいか。私がハワイやアメリカで野球やソフトボールを
プレイしていた頃、エラーをしたとします。平安高校の野球部だったら間違いなく殴られます。ところがアメリカの
指導者は「good try!」(いい試みだ!)と言ったんです。誉められてるんですよ。そしたらその後はルンルン気分
ですよ。指導者は徹底的に誉めることを学ばないといけないと思います。そして、叱る時には冷静に、という事も
大事です。私は叱る時はいつもカッカして冷静になれませんけれども。また、叱るのには段階があります。例えば
遅刻してきた部員にカチンとくるのを抑えて柔らかい言葉を投げかけてやる。そうすると部員は「遅刻してまずい
な。」と思うかもしれません。「言葉かけ」にはいろいろあります。そういうことも考えて叱り方を工夫しなければ
ならないと思います。
 5つめ。最後でありますが、実績を挙げたら謙虚になることだと思います。荒川先生は、世界のホームラン王を
育て、日本よりむしろ世界で高く評価されているのに非常に謙虚で、そういうところに迫力、魅力、重さ、強さを
感じます。また、養護学校の先生で障害のある子供達のティーボールの指導をなさっている久保田先生という
方が「磨けば光る子供達」という本を出版なされました。一冊の本を書くということは、毎日子供達に一生懸命
指導していただいている賜物だと思います。一冊の本を書くと人は嬉しくなって自慢したくなります。「したらええ」
でもほどほどに、何でも謙虚にひたむきにやることが大事です。そしてそれ以上のものを作り上げる。ここは早稲
田大学です。「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」。私は、成績を上げたら、ますます謙虚になるようにと、強く自分
に言い聞かせています。
 ティーボールの指導論はこれぐらいにさせていただいて、ではあと5分くらい、これからのティーボール協会の
夢は何だろう、ということを4つほど考えてきました。
 1つめ。今日は、愛知県からたくさんの指導者の方がいらっしゃってくれています。2005年3月、愛知万博が
スタート致します。そこの選挙区は海部会長です。愛知万博で国際ティーボール大会を大々的にやりましょう。
そのためにはあと3年間しかありません。私は今年から毎年愛知県に行きます「来るな!」といわれても行きま
す。名古屋ドームで少なくとも20カ国ぐらい集めてティーボールをやりましょう。文部科学省や厚生労働省から
予算を取る。松浪先生がいい時に外務省の政務官になってくれました。外務省からも予算を取りましょう。その
ためには3年間の仕込み期間が必要だと思います。全国からの素晴らしいティーボール管理者とプレイヤーが
名古屋に集まって世界からもお呼びして、大々的に行って、海部先生にいいステージを差し上げるようにしたい
と思っています。(笑)
 2つめ。荒川博野球塾の荒川先生の件でこういう公の場で申し上げてよいのか躊躇いたしますけれども国民的
英雄をお育てになった国民的指導者を何としても国民全てが正しく評価する叙勲に向けて、謙虚に冷静に相談
させていただいて、ちょうど70歳を越えられましたので、皆さんのお力をお借りして、それに向けてやらせて
いただきたいと思います。
 3つめ。世界が平和になったらホワイトハウスに行きましょう。もう約束してあります。日本の団長は海部先生
です。監督は荒川先生です。コーチは長嶋さん、王さんかもしれません。私は鞄持ちでも行きたいと思っておりま
す。これが荒川博野球塾の大きな発展になるだろうと思います。そして、アフガニスタンへ行きます。荒川博野球
塾から出た夢物語です。これを現実のものにしたいと思っています。苦しい思いをしている子供達から笑顔を引き
出せるのは、ティーボールしかないだろうと思っています。あそこは、ベースボールの国ではないかもしれない。
クリケットの国イギリス系の影響を受けた国と言っても過言ではないのかもしれませんが心配ない。クリケットの
前段階もティーボールなんです。だから、世界にティーボールが普及する可能性はものすごく大きいんです。
 4つめ。NPO法人「日本ティーボール協会」の成長と発展を皆さん方としていきたい。その1つは、47都道府県の
連盟充実に向けてやりましょう。今年の10月1日から来年の9月30日まで、私は学校を休みます。全国にティー
ボール、ソフトボール、野球の普及に行きます。そして役員を増やしたいと思っています。2つめに、日本体育協会
に加盟しましょう。3つめは国体です。今まで開幕祭ばかりやっていますが、正式種目にしましょう。それから
スポレク、健康福祉祭、年輪ピックに取り入れ、そこで全国大会をやりましょう。こういうような勢いのある組織に
したいと思っています。もう1点はNPO法人「日本ティーボール協会」の上位団体「国際ティーボール連盟」共同
名誉会長がジョージ・ブッシュ大統領パパと海部俊樹日本ティーボール協会会長の「国際ティーボール連盟」から
世界に、このティーボールを発信していきましょう。
 今日はティーボール協会と絡んで、ブラジルにティーボールとソフトボールを指導しに行っている学生2人が帰っ
てくることになっています。これを3年間続けています。また、8月には丸山専務理事を軸としてオーストラリアと
ドイツとイングランドにティーボール、ソフトボール、野球の指導に3年間行ってもらっています。着々と国際ティー
ボール連盟の充実に向けて手を打っています。これをもっときちんとした形で充実させて行きたいと考えています。
それには、ここにお集まりの全国のティーボールの指導者の皆様方のお力が必要になります。是非とも大きな
パワーをお貸しいただきたいと思います。これからも手を取り合ってやらせていただければ大変ありがたいと思っ
ております。今日はどうもありがとうございました。(拍手喝采)
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