3月13日「第30回記念日本ティーボールセミナー」吉村正理事長講演メモ

「『日本式ティーボール』45年の歴史と今後」というタイトルで発表させて頂きます。

 日本ティーボール協会は、1993年11月22日に発足いたしました。本年が30周年ということになります。そこで、このNPO法人日本ティーボール協会のホームページに掲載している「協会30年の歩み」をここでお示しします。皆さんと一緒に見ていきましょう!

 ※ここで「NPO法人日本ティーボール協会の歩み」を見せる

 研究実践の開始は、1975年でした。48年前です。これは私が早稲田大学体育局に助手として奉職した年からでした。

 その2年後の1977年、戦後体育の中心教材であり続けた「ソフトボールの授業」が、廃止されました。その理由は、「ソフトボールは投手と捕手と打者だけが活動している、体育とは、クラスの全員が均等に動き回る動作、それがないとだめなのです」というもの。その年、ソフトボールの代わりに学校教育、体育の中で中心教材として導入されたのが、バスケットボールやサッカーでした。今この二つの球技は、非常に人気のあるスポーツとして、広く普及しています。

 この時、私は、10年後、20年後に、野球の危機、ソフトボールの危機が来ると予測して、1981年に「大学スローピッチ・ソフトボール研究会」を設立しました。

 「大学スローピッチ・ソフトボール研究会」の目的は、「投手と捕手と打者だけの球技にならないソフトボール」を考案すること。「いつでも、どこでも、誰でも、楽しく行えるベースボール型球技」を普及する活動をすることでした。当時は、「ベースボール型球技」とは言わず「ベース・ボール(ベース・ポイント・ボール)」。あるいは、「ベースを置いたボールゲーム」として、研究と実践を行っていました。

 その研究会で最初に提案したのが「14インチ・スローピッチ・ソフトボール」。これは「いつでも、どこでも、誰でも、笑顔で楽しくできる、柔らかいボールを使用した大きい(14インチ)ソフトボール」でした。

 これが、今日の「日本式ティーボール」の研究と実践のスタートでした。目標は、このソフトボール型球技を、学校教育に導入することでした。

 研究会に参加した大学は、東大、理科大、早稲田。会長が私、副会長が丸山先生(理科大)、学生幹事長が東大の可部君、後の早稲田大学教授。

 その2、3年後、京大、同志社、立命等、この研究・実践に興味を持った西の大学がこの研究会に参加しました。

 1993年11月22日、「日本ティーボール協会発足記者発表会」(海部俊樹会長、吉村正筆頭副会長、丸山克俊専務理事、可部明克常務理事)開催。その中心は、上記の研究会のメンバーでした。

 因みに、この「日本式ティーボール」の研究委員には、歴代の研究会幹事長が就任しました。第2代幹事長藤原君(東大・厚生省)、3代幹事長田中君(東大・運輸省)、第5代幹事長小西君(早稲田・三菱重工)、第6代幹事長杉山君(東大・外務省)、第10代幹事長山田君(東大・通産省)、それに当時現役学生の清水君(東大大学院)、掛山君(早大大学院)、第13代幹事長杉山君(東大学生)でした。

 では、ここで年表を見ながら45年を振り返ってみましょう。

 30年を振り返ると、最も満足感を得られる研究・実践成果は、我々が創り上げた「日本式ティーボール」を、学校教育、体育の中に入れたことでしょう。

             【年表をご覧ください】

 1998年11月学習指導要領改訂により、小学校・中学校の現場でベースボール型ゲームが行えるようになる。「『ゲームの例』手やラケット、バットなどで打ったり、止まっているボールを打ったりするゲームと記述された」のでした。

 この時代には、まだ、「止まっているボールをバットで打つゲーム」が理解されず、それが「ティーボール」と同一であるということを、学校現場の先生方に知ってもらうための活動を行いました。教科書会社である「学研」の担当者と何度も議論を重ねた、その年から、小学校の体育4年生と5年生の副教材に「見開きカラー2ページ」でティーボールを取り上げていただいたことは、ついこの間のように記憶しています。

 2008年8月、次の指導要領改訂では、「小学校3・4年生でのティーボール」に加え、5・6年生においてもベースボール型の中で【例示】ティーボールと明記されました。

 10年後、2017年3月も、2008年と同様、小学校体育編3・4年生と5・6年生においてもベースボール型の中で【例示】ティーボールと明記されました。これが現在も続いています。

 これが、この「NPO法人日本ティーボール協会」の最高の研究・実践成果だと思っています。

 次は、この「日本ティーボールセミナー」の開催です。

 第1回より文部省の後援を頂き、更には、第11回からは、厚生労働省からも、このセミナーを続けています。

 そこでは、30年間に及ぶその時々の野球・ソフトボール、ティーボール、「ベースボール型球技」に関する最新の情報や研究・実践例等を登壇者に発表して頂いています。毎回、毎回インパクトのある発表が続いているのはご存じの通りです。

 その30回のプログラム(講演題目)を次に紹介します。

          ※プログラムを紹介する(青字の物)

  大事なところを読み上げます。

 ・記者発表会:「設立の目的・趣旨等発表」

 第1回は、「ティーボールが野球を救う」

 第2回は、「ティーボール更なる普及と発展のために」

 第3回は、「47都道府県連盟の設立を目指して」

 第4回は、「現在の用具とルールと今後の課題」

 第5回は、「ティーボールは、ベースボールの原点」

 第6回は、「プロ中のプロ“ティーボール”を語る」

 第7回は、「ティーボールが小学校の授業に登場」

 第8回は、「ソフトボール、銀メダルおめでとう」

 第9回は、「ティーボール元年(ティーボールのすすめ)」

 第10回は、「学校・地域・職場におけるティーボール」

 第11回は、「10年の歩みと今後の方針」

 第12回は、「ティーボール25年―創造・考案・組織化・展開―」

 第13回は、「国民皆ティーボール、―小・中・高の体育の授業から、国体・スポレク・愛・地球博まで―」

 第14回は、「ベースボール・フォー・オール」―ソフトボールからのアプローチ―」

 第15回は、「世界に広がるティーボール」

 第16回は、「小学3・4年生と5・6年生の学習指導案バイブル作成に向けて」

 第17回は、「アジアティーボールの(普及)協会設立の経緯と今後」

 第18回は、「学校教育の中でのティーボールをアジアへ、世界へ」

 第19回は、「アジアの更なる普及に向けて」

 第20回は、「幼稚園・保育園・小学校・高齢者施設でのティーボール」

 第21回は、「インドアティーボール完成、幼児・児童・生徒・高齢者への更なる普及に向けて」

 第22回は、「正しいティーボールの普及を考える」「未公認バット、未公認ボールの氾濫を考える」

 第23回は、「国民皆ティーボールに向けて、どか点ティーボールの魅力」

 第24回は、「日本式ティーボール 今後のアジア・世界戦略」

 第25回は、「協会創設25年、研究と実践43年、次はSGマーク取得と幼児への普及」

 第26回は、「SGバット、J・T・Aボール完成 使用の義務化に向けて」

 第27回は、「東アジアへ大きく広がる日本式ティーボール」「学校の実態に応じてベースボール型を取り扱わないこともできる」(日本)これをどう考えるか

 第28回は、(オンライン開催)「コロナ禍におけるティーボール・野球・ソフトボール指導」「コロナ禍における日本ティーボール協会、今、やれること」

 第29回は、「これでいいのか五輪の野球・ソフトボール。だから幼児・小学1・2年生への普及、更に世界への普及に向けて」

 第30回は、「奇跡を起こしたNPO法人日本ティーボール協会、この30年」「日本式ティーボール45年の歴史(創作・組織化・普及・そして今後の展望)」

 以上です。

 これは、現在「NPO法人日本ティーボール協会30年史」記念冊子研究資料①として作成・編集中です。完成しましたら、皆さんにお届します。

 次は、皆さん方のお力によって開催出来ている各種大会です。先ずは、NPO法人日本ティーボール協会が主催する「文部科学大臣杯争奪全国小学生(3・4年生)ティーボール選手権大会」についてです。

 日本協会を設立して、最初に大きな大会を開催したのは、1994年6月、千葉ロッテマリンスタジアムにおいての「第1回関東オープンティーボール大会」でした。その後、全国各地でオープン大会を開催して行ったのです。

         ※画面資料をご覧ください。

 東京、神奈川、千葉、埼玉、岡山、沖縄、愛知、大阪、京都、青森、石川、また、孫連盟として、東京都の目黒区、東村山市、品川区、世田谷区、千葉県成田市等々、各地の野球・ソフトボール愛好家が中心となり、大会を開催して下さったのでした。

 そして、日本協会を設立して、5年目の夏、1998年8月に、西武ドームにおいて、「第1回全国小学生(3・4年生)ティーボール選手権大会」を開催したのでした。それが今日に至っています。今年は「第26回大会」になります。「第17回大会」からは、「文部科学大臣杯」を頂きました。また、2010年には「第1回亜細亜小学生ティーボール交流大会」、翌年の2011年には「東日本大震災復興支援ティーボール第1回大会」を開催しました。会長の海部先生や顧問の王貞治氏、あるいは福島出身の中畑氏もお越しくださり、実り多い大会を開催することが出来ました。これらは、今日においても継続して開催しています。

 「都道府県大会」は、皆さんが、立派な大会を開催して下さっています。

             資料をご覧ください。

 一方、障がいのある方とない方が一緒になって行う大会、即ち「健康福祉ふれあい大会」は、多くの地域、職場、学校で、開催して下さっています。

         ※これも資料をご覧ください。

 日本協会では、今年は「第25回記念健康福祉ティーボールオープン大会」をこの秋開催する予定です。因みに、「第1回健康福祉スマイルティーボール大会」は、1996年5月、東京都府中市朝日養護学校と府中養護学校で、開催しました。

 また、日本協会では、2005年「第12回日本ティーボールセミナー」から「幼稚園や小学校1・2年生に対する普及」に全力投球しています。その成果が徐々に表れ始め、2018年には、公益財団法人日本野球連盟と公益財団法人日本高等学校野球連盟と合同で「幼児&小学1・2年生のためのティーボール指導教本Ⅰ」を作成しました。

 それが、2018年「第1回関東幼児(小学・1.2年生)どか点ティーボール大会」を幼児体育指導で有名な(株)ジャクパに皆さんのお力を借り、開催するまでに発展してきました。

 これが第1回大会の冊子の表紙です。

       ※どか点大会の表紙を見せる

 近い将来、この大会も、将来、関東だけでなく、関西、四国、中国、東海、九州、東北、北陸、北海道等の単位で、広がれば素晴らしいなあと考えています。それが、野球界やソフトボール界が蘇る機会になるのではと考えています。皆さんのご協力、宜しくお願い致します。

 これらを纏めた「研究資料②」の冊子も出来上がりました。近々、会員の皆様には、お届けしたいと思っています。

 さてそこで、これからは、このコロナ禍の3年間、日本協会は、上記の「大会」や「セミナー」「講習会」以外にどのような活動してきたかを紹介します。

 以下の3点です。

1.ホームページの充実。 2.「理事長からのメッセージ」に執筆。 3.学校や地域、職場でティーボールをプレーするために必要な「教本」の作成、です。

 1.ホームページの充実に関しては、このコロナ禍、学校や地域、職場で思い通りのティーボールの普及活動が出来ません。そこで、考えたのが、「ホームページの充実」でした。この点に関しては、「基調講演Ⅳ ホームページから見る『日本式ティーボール』の広がり」をお聞きください。

 2.「理事長からのメッセージ」は、この度、(下巻)を刊行する運びになりました。これは、コロナが始まった年の10月からスタートして、(上巻)、(中巻)に続いてのことです。

 ここでは、日本ティーボール協会の日々の活動と野球・ソフトボール関係の話を中心に、いわば、理事長の日記です。週4、5回書いています。現在も継続中です。

      ※(下巻)(上巻)(中巻)の表紙を見せる。

 3.の「教本」の作成を本格化させたのは、コロナ禍の前、2017年1月14日に刊行した「ティーボール・ティーチャー指導教本」からでした。

      ※この表紙を見せる。(説明)

 ティーボールの適切な普及を図るには、全国各地で講習会を活性化させることと考えました。そこで必要となるのが「教本」です。丸山先生と一緒になって、203ページにも及ぶ「ティーボールの教科書」先ず作成したのです。執筆者は、私、丸山先生、吉永先生ら。

 次に、「笑顔いっぱいティーボール」の改訂版、小学校学習指導要項(2017年告示)解説体育編 3・4・5・6年生対象」の改訂版を2019年10月に刊行しました。この初版は、2009年1月の「笑顔いっぱいティーボールの教材を作る会」、メンバーは、一之瀬先生、石田先生、内田先生、加藤先生、久保寺先生、友添先生、吉田先生、吉永先生、頼住先生、それに私でした。この先生たちが数回の研究会を重ね、そして小学校の授業に適した教材を取り上げ、刊行したのです。

    ※この表紙見せる(2019年 改訂版) これは最新の改訂版です。

 2020年1月「幼児&小学1・2年生のためのティーボール指導教本Ⅰ」公益財団法人日本野球連盟、公益財団法人日本高等学校野球連盟。そして我々NPO法人日本ティーボール協会の3団体で作成し刊行したのでした。先ほど紹介した教本です。執筆者は、丸山先生、吉永先生、それに私。日本野球連盟と高野連との編著で表したので世間に対してインパクトの強いものでした。

    ※表紙を見せる(久米川幼稚園の絵)です。これです。

 2021年6月、公認ティーボール規則&日本式ティーボール ルール解説指導教本(吉村正著)を刊行しました。内容は、私の〔まえがき〕―1993年「日本式ティーボール」創作までの研究と実践、更に、〔あとがき〕―日本協会30年の歩み―、に書きましたように、どのようにして、この日本式ティーボールを創り上げたかを、ルール、用具、理念、哲学、飛ばすバットを作った反省、跳ぶボールをアドバイスした反省、様々その時々の研究成果を踏まえて、作り上げてきたことを纏めました。ご一読頂くと幸いです。

 アメリカで普及している4歳から8歳のみプレー出来る「TEEBALL」と、多くの点で異なることにお気づきなると思います。柔らかいバットとボール、そのため塁間は狭くてOK。いつでもどこでも出来る。これが「日本式ティーボールの特徴」であると書きました。

     ※表紙を見せる。

 オフィシャルの「I(アイ)」が抜けてます。オフィシャルがオフィカルになっています。今後、訂正します。

 最後に紹介するのは、2021年7月のコロナ禍に刊行した、公認指導者資格取得用必修科目として「スポーツ・コンプライアンス概論」〔教本〕です。これは、日本のスポーツ法学の第一人者である吉田勝光先生が、早稲田大学ソフトボール部の監督、コーチ、学生を相手に、ご講演したものを、活字にして教本としたものです。

 本日、基調講演Ⅱにおいて、「今必要!『スポーツ・コンプライアンス』を語る」は、この「スポーツ・コンプライアンス概論Ⅱ(ツー)」ともなり得るものと考えます。皆さん、ご期待ください。

     ※表紙を見せる(説明)

 以上が最近の活動です。

 今後、日本ティーボール協会は、どう勝負するか。チャレンジするのかを申し上げます。

 先ず第1に、これまでの活動を自信をもって「継続する」こと。第2に、日本だけでなく、アジアから世界へ、この「日本式ティーボール」を普及させるために、挑戦、チャレンジすることでしょう。

 皆さん、今後とも一緒になって、野球界、ソフトボール界、ひいてはスポーツ界全体のために貢献していきましょう!

 ご清聴、ありがとうございました。