6月8日「出井先生と岡田先生から「議長とはどうあるべきか」を学びました。ありがとうございました。」

 昨日夜NHKニュースウオッチ9のトップニュースは、「出井伸之氏死去」でした。今日の朝日新聞も一面にも、「出井伸之さん死去 84歳 ソニー元社長 デジタル開拓」。記事の中では「早稲田大学政治経済学部卒業後の1960年にソニーに入社、広告宣伝本部長などを経て95年に第6代社長に就いた。『デジタル・ドリーム・キッズ』などのキーワードを掲げ、パソコン「VAIO」などのヒット商品を出した。インターネットの影響力を予見し、エレクトロニクス(家電)事業と、ゲームや映画などのエンターテインメント事業を融合させる路線を築いた」とあります。

 9面の経済面では、「未来を語り続けた『論客』 出井さん 『長期政権』皮肉な退陣」が見出し。記事の中では、「ソニーは日本の電機業界のなかで先頭に立った。執行役員制度の導入など、コーポレートガバナンス(企業統治)の改革を進めた功績も大きい。欧州勤務が長く外国語に堪能だった。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏ら欧米の著名人とも渡り合い、洗練された国際経営者として知られた。(後略)」と記されています。

 27面の社会面でも、「出井さん ソニーと歩んだ 先見の人 ワクワクを形に」「まいた種は今」「プレーステイション ペットロボ アイボ PCバイオ」のキーワードが、並んでいます。現代において偉大な功績を残されたことが、うかがい知れます。

 さて、出井先生と私は、2016年から2019年の4年間、早稲田大学評議員会でご一緒させて頂きました。出井先生はその会の議長でした。評議員会には、全国から約80人前後の校友達と学内からの代表者が集結します。そこでは、理事会が中心となって大学運営されている諸問題について、問題がないか、チェックしたり、新しいアイディアを提案したりするのです。

 会議では、政治家、実業家、学校経営者、企業の重役、全国各地の有力者等、錚々たる方が集まります。「大学に医学部を作りなさい」「大学経営とは」「大学の将来は」「慶應はこうだが早稲田は?」「授業料はこれでいいのか」本当に、様々な意見が出されます。その折々で出井議長のお答えは、誠実で、ある時は、笑顔で、ある時は、真剣に発言者に注意をされる、色々なお顔を見ることが出来ました。

 私の前には、元衆議院議長の河野洋平先生がいつもお座りになるので、こちらの方をちらっと見られこともありました。議長とは、これでいいのかと確認されているようでした。

 私は、2002年から2006年の4年間も、大学の評議員を務めました。この時の議長は、イオンの創設者である岡田卓也先生。先生は出井先生と同様腰が低く、丁寧に議事を進行させました。感心することばかり。当時、若い私にとっては、出席しているだけで、めちゃくちゃ勉強になりました。

 岡田先生が、いわゆるオーナー社長。出井先生がサラリーマン社長。その違いが何とも言えない趣きがありました。1998年から2002年迄4年間、人間健康科学科の学科主任(学科長)を、2003年から2007年迄4年間、健康福祉科学科の学科主任(学科長)を務めた私は、このお二人から議長のあり方、議事の進め方、発言者を尊敬する、タイミングよく決断する等、随分参考にさせていただきました。素晴らしい先輩を頂くと、後輩は、見て、聞いて、育ちます。お二人の先生には、心から感謝しています。

 今、私はティーボール協会の役員会で、議長を務めるときが多いです。上記の二人の先生のように偉大ではありませんが、その二人の先生から学んだ、議事の進め方、先を見て提案する決断、メンバーからの意見を吸い上げる包容力、そして、いざとなれば実行する行動力と決断力等を忘れずに、これからも皆さんのかじ取り役を、謙虚に行わせて頂こうと思っています。

 出井伸之先生が、残された多くの業績を思い出しながら、これからも日本ティーボール協会の運営に、皆さんのお力を借りながら、努力をして行こうと決心した昨日と今日でした。