7月13日「野球・ソフトボールの復活は、高校球児が母校の小学校にティーボールを指導に行くことです。」

 第104回全国高校野球選手権大会(主催/朝日新聞・日本高野連)の地区大会が、全国各地で繰り広げられています。主催の朝日新聞では、毎日この熱戦を詳しく報じています。新聞に載った学校、選手、それに活躍した選手の名前が見出しだったり、写真としても紹介されれば、一生の思い出となるでしょう。高校球児は幸せです。高校スポーツの地区予選がこのように大々的に報道されるのは在り得ませんので。競技人口が最も多い高校サッカーでもないです。

 私は二条中学卒業後、15歳で京都の進学校と野球の名門平安高校に合格。当時は勉強よりも、甲子園出場に大きな夢と憧れを抱いていましたので、平安高校に入学。そして、硬式野球部の門を叩いて、入部説明会に行くと、そこには大講堂に入りきれないほど(約500名)の野球少年が、全国から集まっていました。その入部説明会の出席者の数を見て、硬式野球部に入らなかった生徒が50人ほどいたようです。

 当時は、スポーツというと野球が中心でした。今と全然違います。

 私は1年生、2年生の時、甲子園で先輩の応援に行き、3年生では春も夏も京都予選で負けてしまいました。野球をプレーしに平安高校に行ったのですが、結果は野球部の落ちこぼれ。以後、勉強で勝負するしかありませんでした。今尚、この時期に、新聞に掲載される高校球児が羨ましくて、仕方ないのです。新聞に掲載された高校球児の皆さん、その新聞の切り抜きを後生大切にしてください。君達の宝物になりますよ。残念ながら、私にはその宝物はありません。

 さて、今、高校野球界は岐路に立っています。60年前のような活況を呈しているとは到底思われません。以前のような高校野球にしていくために検討委員会が立ち上がっていると聞いています。「高校野球200年構想協議会」というのでしょうか。応援者、部員、指導者、新聞購読者たちが大幅に減少している。今後どのようにすれば良いのかを検討されているようです。 

 「頑張れ!構想協議会!」

 5、6年前だったでしょうか。私は高野連の事務所に呼ばれ、朝日新聞社と毎日新聞社から選出された当時の副会長の二人と事務局長に対して、次のようなアドバイスをした記憶があります。「高校野球の財産は何と思われますか。それは学校の施設、校長先生をはじめとする先生方、野球部の監督を務められている先生または職員の方々、そして何よりも、「野球部員」の生徒たちでしょう。この秋、母校の小学校に、「ベースボール型球技」=「日本式ティーボール」の指導に行かせるのです。それが、高校野球の復活の鍵となります。「3・4・5・6年生の体育の授業で、このティーボールがプレーできることになっているのですから」とアドバイスしました。

「担任の先生も校長先生も、母校OBである高校球児が来たら、きっと喜ばれます」と続けました。「あの熱い中、甲子園出場をかけて戦った高校生の純粋さ、素晴らしさ、野球への愛、その高校球児たちが、自分の母校である小学校に行ったらどうでしょう! 小学生はどのように思うでしょうか。めちゃくちゃ楽しいと思うでしょうね。なんせ、朝日新聞、毎日新聞に載った高校球児が、母校の小学校、弟・妹分達に『投げる・捕る・打つ・走る』を教えるのですから」と説明しました。

 更に付け加えました。「その指導ぶりを毎日新聞や朝日新聞が紙面で取り上げる。そこで高校球児の『小学生にベースボール型球技(ティーボール)を教える指導法の甲子園』を卒業前に企画する、如何ですか」と。「高校3年生球児は、夏の大会敗退で引退します。野球部員の頃は、今までの2年半、どちらかというと、監督さんからご指導を頂いて、その方針に沿って、技術を磨く、成長する、というものでした。秋からは違います。自立を目指すのです。それは、小学生を指導して、指導の難しさを学習する。そこで人間として成長する。どうですか」というアドバイスもさせて頂きました。

 その私のアドバイスの後、高校球児が通学している学校に近くの野球少年、少女を集めて、ティーボールや野球の指導を行っているのを、実際に見たり、身近な人から聞いたりもしました。幼児の指導を行ったという新聞記事も見たことがあります。これも良いことではありますが、私は、高校球児が幼児を指導するのは非常に難しいと思っています。既に野球少年・少女になっている児童を教えるのは比較的容易です。また、地元にはすでにその指導者がおられます。それよりも、野球・ソフトボールの経験のない小学生3・4・5・6年生を対象に、体育の授業で、運動の基本である「投げる、捕る、打つ、走る」指導をする方がはるかに勉強になる、効果的と考えます。皆さんはどのようにお考えですか。

 「高校球児が母校に帰ってティーボールを指導する」というプロジェクトは、この秋からでも復活させてもらいたいです。これが、全国で野球やソフトボールを普及するための最も有効な手段であると私は考えています。野球好き、ソフトボール好きの皆さん!このプロジェクトにぜひ賛同してください。そうすれば、近い将来、野球やソフトボールが復活します。高校野球の衰退にも、ひとまずブレーキをかけることができるでしょう。高校球児のパワーを信じましょう!

 野球・ソフトボールの復活は、高校球児が母校の小学校にティーボールの指導に行くことです。

 夏の高校野球地区予選の記事を読んでの今日の感想でした。