9月1日 王貞治先生が野球の底辺拡大の努力されている荒川先生とティーボールの魅力についてスピーチされました。

 長嶋茂雄さんと川上哲治さんとの間でご挨拶されたのは、王貞治先生でした。

 そのスピーチの中で、「野球界というのは危機感を持っています。底辺を広げるという意味では、このティーボールというのはすごく大切なものではないかと思います。そういった情熱をもってティーボールを広げようとする荒川さんの野球に対する情熱、また、指導力というものが認められたということを弟子の一人として大変うれしく思います」と述べられました。

 それでは、王貞治先生の当時のスピーチを以下に紹介します。

 「『荒川博野球塾』がこういう形でみなさんに、多くのみなさんにご賛同を得まして設立されたことを本当に嬉しく思うと同時に、皆様には御礼申し上げたいと思います。先ほど長嶋さんのお話にありましたが、やはり荒川さんの野球に対する情熱、それからもう一つ私に言わさせていただきますと純粋さということがあると思います。ただ一筋野球の技術を追い求めて進んできた人生だったのではないかと思いますが、今日早稲田大学のみなさん、早稲田大学野球部のみなさん、アマチュア野球の関係のみなさん、またプロ野球関係のみなさんと、本当に多くのみなさんにこうやってお集まりいただいて荒川さん、心から喜んでられるのではないかとそういう風に思います。私は昭和37年から45年まで指導を受けました。もちろん、早稲田実業時代、高校生のときにも指導を受けております。また中学2年のときに初めて荒川さんとお会いしまして『早稲田実業にすぐ入れ。』と言われました。それくらい荒川さんとの出会いから今日までというのは本当に色々なことがありましたし、本当に長い年月であります。先ほど海部先生からお話がありましたが、ボールを投げるというのは小さいうちは負担になるということもありますけども、まずストレートがなかなか入りません。ストレートが入らないということは野球としては進まないわけですから、これは面白くないのですね。またバッターのほうも投げてきた球というのはなかなか小さい子は当たりません。これも面白くないです。そういった意味でティーボールの素晴らしさというのが今の言葉でご理解いただけるんじゃないかと思います。ああいう形でやっていれば我々ももっともっと我々の時代も野球に熱中した子供たちが多かったんじゃないかと思います。21世紀入ります。ますますスポーツが多様化しておりまして、われわれ野球界のほうもサッカーとかバレーボール、その他テニスとかゴルフだとか、スポーツが色々な意味で多様化しておりますので、野球界というのは危機感を持っております。そういった意味で、底辺を広げるという意味でこのティーボールというのはすごいこと、大切なものではないかとそのように思います。そういった情熱を持ってティーボールを広げようと一生懸命に頑張っておられるみなさんに、こういう形で荒川さんの野球に対する情熱、また、指導力というものを認められたということを弟子の一人として大変嬉しく思います。とにかく実際に荒川さんの指導を長く受けているのは私が一番でございます。毎日毎日これだけ何でやるんだろうって首をかしげながら何となくついてやっていくという形でスタートしたのが、結果が出るようになってからだんだん自分自身もその気になっていきました。荒川さんに『今日は終わってもいいよ。』と言われても『もう少しお願いします。』というようなことにもなってまいりました。やはり荒川さんが私の気持ちを理解して『こういう形でいったら今日はのってこないな。』というときは違う方からいろいろ問いかけてくれたりとかして、常にそういう気にさせてくれました。そういう指導の中で、技術を教えるということよりも選手をその気にさせるという点では、荒川さんの指導というのは素晴らしいと思います。そういったことがみなさんのご賛同を得ているのではないかとそのように思います。70歳になって、荒川さん自身もこの年でということで最初お断りしたという話も聞きました。でも70になって新たなこういう取り組みができるということは、こんな幸せなことはないんじゃないかとそんな風に思います。荒川さんの野球に対する気持ちは変わらないと思いますので、どうぞご来場の皆様、どうぞ色々な形で荒川さんを支えてあげていただきたいと思います。そして荒川さんの持っている素晴らしきものを世の中の多くの子供たち、また、指導者のみなさんにも色々と荒川さんを引き出していただきたいと、それが日本の野球界の将来を大いに支える意味でも大きな意味があるのではないかとそのように思います。今日は本当にこんなに多くの皆様にお集まりいただいて、荒川さんと荒川さんの奥さんも壇上に立って、やはり今まで野球を一生懸命やってきて良かったな、と思われてるんじゃないかと思います。でもこれからますます気持ちを新たにして、頑張っていただきたいとこのように思います。本当に今日はありがとうございました。荒川さん、おめでとうございます。」

 この後、前回紹介した川上哲治さんのスピーチへと続きました。

【引用・参考文献】

「荒川野球塾発足 (2001年1月20日)於 椿山荘」 「編集委員会委員長 吉村正 発行者 日本ティーボール協会(会長 海部俊樹) 2001年5月10日発行」より