3月30日「喘息児のための運動療法として、日本式ティーボールをプレーしても、プレーの仕方を間違えなければ効果的です」

 花粉が毎日警戒レベルです。アレルギーのある方は大変です。実は私もこのスギ花粉で、この時期毎年苦戦しています。でも今年は、ブースター接種をしたせいか、昨年より楽をしています。でも、朝起きたときは、くしゃみがよく出ます。皆さんはこのようなお悩みはないですか。

 私はアレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息時の運動療法を15年に亘って研究していました。今日は先ず、我々にとって「健康」とは何かについて、考えて見ましょう。

 1946年世界保健機構(WHO)が宣告した憲章の全文における健康の定義を紹介します。「健康とは、単に疾病がないというだけでなく、身体的にも、精神的にも、社会的にも完全な良好な状態(WELL-BEING)をいう」。この前文には、更に、「およぶ限り最高の健康水準を享受することは、人種、宗教、政治的信条、経済的状態のいかんを問わず、全ての人間の基本的権利である」と述べられ、「政府は、その国民に対して責任を負うものである」と記されています。

 この理念に基づき、喘息やアレルギー、アトピー性皮膚炎で悩む戸田中央総合病院に通院する患者さんの健康づくりの一助にと考え、運動療法を定期的に行っていたのです。ある時は、戸田市にある体育館でレクリエーション活動の出張授業、ある時は、喘息児が所沢の早稲田のグラウンドに来て、ソフトボールやティーボールをレクリエーション的に遊ぶ。そして、メインイベントは2泊3日の「喘息時のためのサマーキャンプ」でした。

 それぞれの運動療法後に、ピーク・フロー・レート等の医学的データを、お医者さんと一緒になって収集させて頂き、それを集計、分析していました。

 サマーキャンプを行う時、私たち健康科学や体育学の研究者は、医療スタッフと綿密な打ち合わせを行い、場所の設定、使用施設やスタッフの数の決定、プログラムの立案を行いました。そして更には、実際の指導を通して、喘息児にスポーツやレクリエーション活動を動機づける共に、運動療法がどの程度有効かを試行しました。

 運動療法は、交感神経を刺激し、呼吸筋や呼吸補助筋を鍛錬するという意味において、呼吸機能を高める効果が期待されており、特に水泳は運動誘発喘息[EIA]を起こす危険性が少ないことから、喘息時の運動療法として推奨されています。しかし、他の運動が喘息児の健康状態に及ぼす影響に関する統一した見解は、未だに得られていません。そこで喘息児の生活の質を向上させることを目的として、様々なスポーツやレクリエーションに挑戦したのでした。その運動療法の中に、日本式ティーボールがありました。

 この研究成果は、「喘息時のためのサマーキャンプ―そのレクリエーション教育的アプローチ―」(早稲田大学研究紀要、1989年)、「喘息時のためのサマーキャンプ」―そのセラピューティック・レクリエーションの試み(その1)―」(早稲田大学研究紀要、1990年)、「喘息時のためのサマーキャンプ―セラピューティック・レクリエーションの試み(その2)―」(早稲田大学研究紀要、1991年)と、3年連続で発表しました。その後、10年間研究と実践を続けて、以下のような結論を、導き出しました(※医療データについての分析と考察は省略します)。

 日本式ティーボールは、喘息時の運動療法として有効であるといえる。それは他の運動と比較して、試合中に「間」いわゆる「インターバル」を取りやすく、緊張と弛緩が適度にほぼ均等で来るため自己コントロールを行いやすいからと考えられるからである。特に、日本式ティーボールを含めた運動療法が期待できる年齢は、11歳未満で軽症と中等症ということになった。また、11歳以上の重症例の一部の中等症例に対しても、ウォーキングのようなセルフコントロールのしやすい種目を選び、発作を予防するための処理(DSCGやβ刺激剤の吸入)をしっかり行えば運動も可能であるという結論も導き出された。

 今日は、健康教育と医学の研究者、並びに患者さん、学生スタッフがスクラムを組んで導き出した結論を皆さんにお伝えしました。この報告が、小児喘息でお困りの方にとって少しでも、お役に立てれば幸いです。

 喘息児の運動療法として、日本式ティーボールを治療的にプレーしても、プレーの仕方を間違えなければ、11歳未満には結構効果的という(10年間に亘る論文や報告書をめちゃくちゃ短くした)報告でした。