7月1日 香港返還25年目の日。オオタニさん7勝目。「大投手養成法」をお教えします。7月は明るくなる月に!

 7月1日は、香港がイギリスから返還されて、今日で25年目です。香港は今大きく変わろうとしています。50年前、私が憧れた香港は、免税店がある、コンパクトな家並み、親日家も多いといった良い印象ばかりでした。ですから、1971年アメリカ留学を終え、最初に言った外国は、香港でした。当時は楽しい思い出がいっぱい。その約20年後、ローンボールズの世界大会で訪れた時も、世界の多くの選手たちは香港を堪能して、それぞれの国に帰国しました。それがここ2、3年では、時代革命、雨傘運動、国家転覆共謀罪、公共秩序暴動罪、不法集会罪という漢字、文言が並びます。

 早稲田大学ソフトボール部の女子部の今年の卒業生で、香港出身のRという学生がいました。日本語が堪能で、英語もトーフルやトイックの試験でも高い成績を残す優秀な学生でした。部員は、彼女からその時々の香港情勢を学んでいました。我々は、彼女が1年生の時、「文部科学大臣杯争奪全国小学生ティーボール選手権大会」と並行して「第9回アジアオープンティーボール大会」を開催しました。「アジア大会」は、初日が所沢の早稲田大学のグラウンドを、翌日が西武のドームを使用しての2日間の大会でした。

 初日の早稲田での大会終了後のパーティーでは、私は1年生のRを司会者に抜擢しました。彼女は期待に応えて、参加した中国北京チーム、上海チーム、広東省チームの小学生選手達を相手に見事なリードをしてくれました。その場はことのほか盛り上がり、それは彼女の人間力の賜物でした。参加した中国の選手は、皆、感激、感動し、一生の思い出となってくれたことでしょう。そして、選手たちは、翌日の西武のドームの本大会に備えたのでした。

 その明るい彼女が、ここ2、3年、憂鬱そうな表情が続いていました。そこで私は、「どうしたR、辛いことあるのか」と聞いてみると、彼女が切り出したのは「両親はイギリスへの移住を考えている。兄弟はカナダヘ留学を望んでいる。自分はどうしたらよいのか」と悩んでいると。私はため息を抑えるのに苦労したことをついこの間のように覚えています。私は彼女のために何も出来ない辛さ、悔しさ、そして、寂しさでした。

 今日の朝日新聞の9面国際版には、「破られた『50年不変』香港返還25年」。そこでの見出しは「香港第2の移民ラッシュ」「中国政府、政策ねじ曲げ」「デモと距離 穏健な中間層」です。その記事の冒頭「ロンドン行のフライトの出発時間が迫った午後10時ごろ。香港国際空港で、1年余り前から見られるようになった光景がある。すすり泣き、抱きしめ合い、出発ゲートの奥に姿が見えなくなるまで手を振り続ける姿―。普通の別れではない。生まれ育った香港に失望し、断腸の思いで移民する人たちだ。『香港はあまりにも変わってしまった』。6月中旬、ともに31歳の新婚夫婦も両親や友人たちと別れを惜しみながら、出発ゲートへ向かった。『子供を産んで、育てる場所として、香港はふさわしくない。中国に都合のいいことばかりを教える教育は受け入れられない』」(後略)。

 ガンバレR・R!

 話は変わって、メジャーでは、オオタニさん!7勝目です。5回3分の2無失点に抑える。今季5度目の2桁となる11奪三振。連続無失点が自己最長の21回3分の2となりました。それでも本人は、不満だったようです。それは、5回2死で、途中交代させられたからのようです。オオタニさんは、6回を完璧に投げ切りたかったのでしょうね。私も投手を長くやりましたから、その気持ちはよく分かります。でも投球数は、交代の時は108球。これは今チームを指揮するモンゴメリー・ベンチコーチの決断、オオタ二さんの体調を案じての采配です。オオタニさんは交代した後、気持ちがゆっくりした時に、彼の判断の適切さに感謝することでしょう。

 それにしても、オオタニさんの投球術は、見事の一語に尽きます。ダルビッシュ有に匹敵します。「緩急差が47,5キロ、幅広い球速帯を駆使」と日刊スポーツは報じています。この日に使った球種は、速球、スライダー、スプリット、カーブの4種類。最速は162.5キロ、最遅は114.7キロだそうです。こんなに球速に差があると打ちにくいです。

 ソフトボールの投手指導では、私は先ず速球を出来るだけ速く投げさせます。そして次に、ライザーを教えます。そのライザーと速球の速さを競争させます。高目に投げるボールが速く投げられるようになると、次にドロップを教えます。出来るだけ速いドロップを投げられるように指導します。そこでそのファームと同じで、握り方のみを変え、パームの状態でチェンジアップを投げさせます。この2種類の落ちる球の緩急差を出来るだけ大きくします。それが出来れば、その中間球の鋭く落ちる、速いチェンジアップ系のボールを投げさせます。これで投手は、5種類の変化をするボールが投げられるようになるのです。これが私の日本一の投手を育成するメソッド(方法論)です。どうぞ、ご参考に!

 今日はどさくさに紛れて、特別大サービスの「大投手養成法」を皆さんにお伝えしました。

 今日の「理事長からのメッセージ」は、「曇りのち晴れ!」です。香港を書いている時は、いわゆる筆が重く、なかなか進みません。でも、オオタニサさんと投手の指導法となると、すらすら書けます。気持ちも乗ってきます。明るくなります。

 この7月は、あまり暑くならないで、曇りのち快晴。  皆さん! 気持ちがどんどん明るくなる月にしましょう。