6月9日 中国編② 陳先生の偉大なる貢献。日本で出版されたティーボールとソフトボールの専門書を翻訳。中国に紹介、そして普及へ最大級のご努力
陳兆麗先生の偉大なる貢献の一つは、「笑顔いっぱいティーボール」(NPO法人日本ティーボール協会、2009年発行)を中国語に翻訳され、その本をご自分で3000冊購入され、中国各地の教育関係機関へ寄贈されたことです。
そもそも、この「笑顔いっぱいティーボール」の日本語版は、NPO法人日本ティーボール協会の中で「笑顔いっぱいティーボールの教材を作る会」なる勉強会を組織し、小学生にどのように「ベースボール型」を授業で教えるかを、世に問うものでした。この研究会員は、大学の野球・ソフトボール研究・実践者と小学校でソフトボールとティーボールを教えている先生方、計10人。
この教材が完成した時、文部科学省の協力を得て、当時全国小学校22,476校全てに送らせていただきました。この反響は、物凄いものがありました。それは、その中に「キャッチボールの指導法」、「狙い通りに打つ方法」、「強く打つ方法」、「ホームラン競争」、「リレーでのベースランニング競走」、「ミッキーマントル(元ニューヨークヤンキースの強打者)が遊んだゲーム」、「どか点ゲームの三角ベースと四角ベース」、「三角ベースティーボール」と「ティーボール(正式な四角ベース)」のプレーの仕方を掲載したからでした。
加えて、小学校の先生方に「ティーボールの指導計画」(3・4年生)と学習指導案(3・4年生対象1)と(3・4年生対象2)。更には、(5・6年生対象1)と(5・6年生対象2)を掲載しました。これは、小学校の先生方が、独自の指導案を書かれるときの参考になればと考え、掲載したものです。吉永常務理事が中心となって作成されましたが、多くの小学校からお褒めの言葉を頂いたことを、ついこの間のように記憶しています。
巻末には、ティーボールの競技規則。そこには、どのボールとどのバットを使用すればよいのか、バッティングティーを置く位置はどこか、更には、審判法と審判の仕方も掲載しました。これらはすべて、学校現場の先生方の目線で作成したものでした。
陳先生は、この「笑顔いっぱいティーボール」の教材を、2010年1月に、「体育、未来、Tee式棒球」として中国語に翻訳し、日本での過去の普及体験を参考にされ、上記のように、中国全域の教育関係団体に寄付されたのでした。そのような試みに対して、中国では物凄い反響があったと聞いています。
陳先生の次の大仕事は、私が書いたベースボールマガジン社発行の4冊の「ソフトボール指導書」の翻訳です。それらは、①「うまくなるソフトボール(攻撃編)」229ページ、2002年12月発行。②「うまくなるソフトボール(バッテリー編)」235ページ、2003年7月発行。③「うまくなるソフトボール(守備編)」256ページ、2003年12月発行。④「ソフトボールの変化球バイブル」211ページ、2005年11月発行、でした。
①②③④の書籍は、いずれも2010年2月20日、中国塁球協会が「内部資料」として刊行、「序」を書いたのが、国際塁球協会副主席兼中国塁球協会副主席であった江女史。「前言」は私、翻訳は全て陳兆麗先生でした。この4冊に関しては、中国全土のソフトボール指導者の方々は全て読破され、それを参考にしながら指導することが義務付けられたのでした。
この件に関しては、日本の元高校教諭で監督、その後、社会人や大学で監督を務められ、中国でも有名なチームの監督をされたF先生からも直接聞きました。
また、2016年3月、中国棒塁球協会が「軟式棒塁球教師指導書」を出版しました。著者は、その道の中国での権威者羅科先生。主編と編著は読めますが、その下は読めません。発行元は河南科学〇〇出版社 この権威ある書の推薦文は光栄にも私が書かせていただきました。その翻訳は、勿論陳兆麗先生。以下にそれを紹介します。
「ティーボールは、1990年以降、アジアにおいて発展してきた投手のいないベースボール型(野球・ソフトボール)ゲームです。NPO法人日本ティーボール協会は、アジアに適したルールと用具を開発し、幼児からお年寄りまで幅広い老若男女が楽しめるスポーツとして普及させています。私達のモットーは、笑顔いっぱいティーボールです。打者は静止したボールを思い切り打ちます。そのため、空振りはほとんどなく、誰でも簡単に打撃できるため、早いリズムでゲームが進み、内野手も外野手も頻繁にボールに触れることができます。短時間で、全選手が『打つ』『投げる』『捕る』の動作を体験でき、ベースボール型スポーツの技術を学ぶことができます。私達は、ティーボールが学校の体育に非常に適したスポーツだと思っています。(略)
本書の作成が、ティーボールの体育授業への採用を推進するきっかけとなれば幸いです。ここに、羅科先生に心よりお礼申し上げます。
早稲田大学教授・アジアティーボール連盟会長 吉村 正
以上です。そして、私の直筆のサインが記されています。
本書が、中国において独自に発行されることにより、日本式ティーボール、スローピッチ・ソフトボール、ファーストピッチ・ソフトボール、並びに野球が、更に広がる大きなきっかけとなったのです。
今回の「理事長からのメッセージ」は、陳兆麗先生が、日本で出版された書籍の専門書を翻訳されたことを紹介しました。その功績は偉大です。永遠に語り継がれます。
中国編③に続く。