10月28日 吉田選手サヨナラ2ランホームラン!「挽回」した阿部投手、平野投手。青木選手も3安打!

 日本シリーズ第5戦は、物凄い試合でした。吉田正尚選手の劇的なサヨナラ2ランホームラン、度肝を抜かれましたね。吉田選手は、2-2同点の5回にも一死からソロホームラン。この試合2本のホームランを打ちました。ここまでの4試合は、徹底的にマークされ、四球攻めで苦しんでいました。この度は、走者なし、あるいは走者が一塁だけと、勝負してもらえる機会に恵まれました。そこでの2ホーマー。さすが千両役者です。

 ヒーロー吉田選手の陰で目立ちませんでしたが、汚名を「挽回」した二人の投手がいました。それは、阿部投手と平野投手。阿部投手は第2戦、同点3ランを喫し、勝利が目前であった試合を引き分けてしまいました。平野投手は、第1戦村上選手にダメ押しのホームランを打たれました。そこからのそれぞれの「挽回」です。阿部投手は、6回2死二塁三塁で登板、物凄いプレッシャーの中で、山田をセンターフライに打ち取りました。一方、平野は8回から登板、三塁フライ、レフトフライ二つと完璧に押さえました。二人の投手は見事に「挽回」したのです。

 「挽回の重要性」。これ私が現職の教授時代よく学生に言っていた言葉です。監督や教授、教師は、選手、学生、生徒に対して、失敗を経験し、悔しい思いをさせて、そこから「挽回」へと向かわせる。ここに「スポーツ教育」があると私は思っています。これが選手(学生)の成長に繋がるのではないかと思い、指導していました。そのため、私は、中島監督がこの二人の救援投手にどのような形で次に「挽回」の機会を与えるか、とても興味のある所でした。

 今日現在、この二人の投手は気分良くしているでしょう。吉田選手に負けないほどでしょう。中島監督は阿部投手、平野投手に対してしっかりと「挽回」の機会を与えました。そして、それに二人は見事に応えました。そこでの勝利です。爽やかな風はオリックスに吹こうとしています。

 ドッコイ、そこで立ちはだかるのが、ヤクルトのベテラン青木宣親選手。昨日は両チームで3安打した唯一の選手。やりますね40歳!6回の右翼線への二塁打は、素晴らしかったです。この一打で、ヤクルトの勝利を確信した人が結構多かったのではないでしょうか。間違いなく次の試合に繋がります。

 昨日のテレビ朝日、9時54分からの報道ステーションのスポーツニュースで、解説者として鳥谷氏が出演していました。彼と青木選手は、早稲田大学野球部で同級生。大越キャスター(東大野球部OB・元学生日本代表)が鳥谷氏に青木選手の打撃術に関して解説をお願いされましたら、鳥谷氏は説得力のある見事な解説、聞き惚れました。

 この欄で書くのは確か3度目です。鳥谷氏、青木選手、元ヤクルト田中氏と武内氏、ソフトバンク和田投手この人たちがモデルで、2003年5月(株)新星出版社から「野球テクニック&トレーニング」編者「早稲田大学ベースボール・トレーニング研究会(会長吉村正)」というタイトルで、当時野球部の野村徹監督と私の共著で出版しました。

 その本の前書きに私は、次のように書き記しました。

 野球少年の「夢」の一つは、「プロ野球選手」になることであろう。また、「甲子園に出場すること」や「6大学でプレーすること」も、その「夢」の中に入るかもしれない。高等学校や大学で野球をプレーする選手たちには、「全力投球」「一球入魂」「好球必打」「文武両道」「情熱」「挽回」「気力」「努力」「汗」「涙」「力」といった表現が良く似合う。また、「チームワーク」「リーダーシップ」といった言葉も強烈なイメージをもって迎えられているように思う。そこには、野球というスポーツを通しての「教育」があり、人間形成する場があるといってもよい。私は、「大学野球」には、選手各自の人間の「器」を大きくする場であると、いつも思いたい気持ちがある。(後略)

 中島監督のマネージメント力は素晴らしいと思います。勝つためのプロの監督さんであると同時に、そこには大学野球に通じる「教育」する力、「器」を大きくする指導力をお持ちです。

 そして、青木選手と鳥谷氏。先述の本のモデルとなった大学生が、卒業後、競争の激しいプロ野球の世界で2000本安打を超えました。名球会入りです。鳥谷選手は、名選手から名評論家、名分析家への道を歩もうとされています。青木選手は40歳なのにまだまだ現役、共にそれぞれの道で素晴らしいです。このような選手と学生時代に会えたのは私の幸運でした。

 中島監督、青木選手、鳥谷氏は、「挽回」の重要性を知る「教育者」のように思われます。選手たちの「器」も大きくします。このように感じたのが、昨日の日本シリーズを見ての私の感想です。皆さんは、どのように感じられましたか。お聞かせください。

 これで2勝2敗1分。次の神宮での決戦がまたまた楽しみです。

 吉田選手、阿部選手、平野選手、青木選手! 「ナイスゲーム」! ありがとうございました。次に活躍するのは、ヤクルト村上選手か高津監督の好采配が観られるか、はたまた、オリックス杉本選手の豪打か山本投手の好投か、興味は尽きません。