6月19日「アジア連盟が再び動き始めました。陳先生、ソ先生、それに河内顧問と私。力強く、太く長く、そして、前へ、前へ!」

 2018年1月6日 「第25回記念日本ティーボールセミナー」を早稲田大学国際会議場において、開催しました。丸山先生、ソ先生、陳先生の3人が揃って、登壇され、それぞれの立場で、アジアでのティーボールの普及状況を、説明されました。

 丸山先生は、フリーディスカッション1「幼児と小学1・2年生への更なる普及に向けて」そのコーナーでのキーノートレクチャー。タイトルは「幼児の普及に全力投球」。ソ先生は、フリーディスカッションⅡ「1998年、このセミナーに参加してから20年、そして今後は」。陳先生は「中国への普及活動13年、そして今後は」でした。

 丸山先生の話は、幼児にはどのようにして、この日本式ティーボールを普及させるか、というもの。そこで、中国に行かれて中国の先生方へ、指導した経験を語られました。以下に紹介します。

 「陳兆麗先生。吉村先生とのご縁で持って、一昨年ですかね。中国に行きました。習近平主席がですね、何と、ワールドカップを中国に持ってくる、優勝するぞ、これ本当ですよ。中国の幼児体育(ボールゲーム)専門家会議、委員会ができ、陳先生はその委員です。国のプロジェクトで年間7000万円から8000万円が向こう10年と聞いていますけれども、その第1回が北京で行われ、その時はサッカーでした。サッカー、ティーボール、バスケ全てを幼稚園児にやらせるというプログラムであります」(略)。

 丸山先生の講演は続きます。

 「中国で、先生方に冒頭言ったことは、皆さんは幼稚園児の先生として、何が一番大事だと思いますか。答えがなかなか出てこない。私の答えは簡単です。それは子ども達に好かれる笑顔です。どうすればいいですか。練習することですよ。鏡の前で、朝練習してきました。笑顔を。おはよう。目を見開くと結構いい顔になります」(略)。

 中国においても、丸山幼児指導メソッドが炸裂。丸山スマイル、全開です。

 中国では、陳先生ご自身のご努力に加え、その応援団(吉村、丸山先生、ソ先生)も多くいたのでした。そして、日本式ティーボールは中国で、爆発的に普及していったのです。それを、この後、フリーディスカッションⅡで、陳先生が、発表されました。

 「野球砂漠のような地でティーボールの普及活動をしてきました。皆さんと全然違う悩みがありました。胸を張って報告できることは、中国全土、隅から隅までという訳にはいかないですが、各省にティーボールチームあるいはティーボールの授業を開講している学校が全部あることです。一応ゼロから全国へ。ティーボールを持って行った時に、ティーボールって何、野球って何、こういう声を沢山聞きました(略)。

 先ず、2005年に用具を持って、中国へ紹介しようと思った時に、4年間色々な方法を探りました。学校に行くか、クラブか、ほとんど道探り段階でした。トンネルのような感じでした。2009年に、中国国家プロジェクトがありまして、吉村先生にお願いして、先生は専門家委員会の専門家委員に就任、そこから大きく飛躍し、広がりました」と。

 一方、ソ先生は、フリーディスカッション1において、「私とティーボールとの縁というのは、一期一会という言葉で始まったと思うのです。私は1988年に皆さんの税金で、日本で勉強することになりました。その税金を7年間も頂いていました。それで韓国に帰国したら、ある日、日本体育大学の先輩の丸山克俊先生がいきなりやってきて、『おい、ティーボールやらんか』と言われました。騙されています。だけれど私は騙されたおかげで、今の私があると、そう信じています。私の名前は相玉(サンオク)です。日本の円で、3億の売り上げを出せるようになりました。3億は20名のニュースポーツ、ティーボールに関わっている人の給料として使っています。本当にありがとうございます」と。凄い広がりですね。

 更に続きます。「これ程普及したのは、様々理由はありますが、吉村先生が直々韓国の大統領にお願いにいらして、韓国にも日本と、海部俊樹首相と同レベル、元大統領が韓国ティーボール協会の会長と総裁になってくださいました。非常に運が良かったです。その年に、韓国の教科書に正式にティーボールを小学校と中学校の教科課程に入れてくださいよ、という願いがかなったわけです。それもひとえに、日本の皆さんのお力だったと思っています」(後略)と。

 2019年1月12日「第26回日本ティーボールセミナー」では、丸山先生が、基調講演Ⅱにおいて、「幼児のティーボール指導の難しさと楽しさ」。陳先生は、フリーディスカッション1において、「日中指導者のコーチングの類似点と相違点、指導者はどうあるべきか」について、お話を頂きました。この年、ソ先生は、欠席でした。

 2020年1月18日「第27回日本ティーボールセミナー」では、その主題が、「東アジアに大きく広がる日本式ティーボール」でした。そこでは、基調講演1が、丸山先生の「日本での順調な広がり」。基調講演Ⅱは、ソ先生の「韓国では信じられない程の大きな広がり」。基調講演Ⅲは、陳先生の「中国での爆発的な広がり」でした。ソ先生と陳先生は、それぞれがいつもながらの見事な発表でした。

 丸山先生の基調講演1は、私が代理を務めました。実は、このセミナーの20日前、2019年12月29日、丸山先生と私は、高田馬場の事務所の前の寿司屋で夕食を共にしました。二人だけの忘年会。その時先生曰く、「もし僕の体調が悪ければ、吉村先生、僕の代理でお話ください」と。

 丸山先生が2020年1月14日にご逝去。その連絡をご子息から頂いたのは、このセミナーが、終了した1日後のことでした。合掌。

 2020年1月14日というのは、丸山先生がNPO法人日本ティーボール協会&アジアティーボール連盟に復帰され、「ティーボールティーチャー指導教本」を始めて刊行された日(2017年1月14日)から、奇しくもちょうど3年後のことだったのです。

 その2か月後に、緊急事態宣言が発令。日本も韓国も中国も、ティーボールは、それぞれの国で、独自の活動が行われたのでした。日本では、ホームぺージの充実、様々な教本やスポーツコンプライアンスのDVD作成、この「理事長からのメッセージ」の執筆等です。韓国でも、中国でも独自の普及方法をお考えでした。

 今、東アジアにおいて、コロナがかなり落ち着きました。国際間のスポーツ活動があちこちで再開され始めています。このティーボールも例外ではありません。この7月24日は、西武のベルーナドームにおいて「第26回文部科学大臣杯争奪全国小学生ティーボール選手権」を開催します。前日の23日には、早稲田大学所沢キャンパスにおいて、「モンゴル2チームと地元2所沢チームとの国際交流試合」も行います。

 その折、ソ先生、陳先生と私の3人は、3年8か月ぶりで再会します。本日、韓国のソ先生に電話しました。ソ先生は来賓として間違いなく来日されます。約束しました。この3人に河内日本協会顧問が加わり、中国、韓国、台湾、それにモンゴルを含めて、今後のアジア連盟の歩み方、普及の仕方等を話し合います。

 丸山先生! 天国で見ていてください。アジアへの更なる普及、幼児への普及活動を。アジア連盟も、「前へ、前へ」です。