8月29日 高校日本代表と大学日本代表の試合。怪我が心配。アメリカは、以前これは禁止でした。今は?スポーツ法学・スポーツ教育学の先生のご意見をお聞きしたいですね。

 昨日東京ドームにおいて、野球の高校日本代表と大学日本代表の「U18壮行試合」が行われました。今日の日刊スポーツの一面トップは、「U18最強左腕2回3K前田大学侍斬り 夏決勝で甲子園を逃した大阪桐蔭エースが本領 ドラフト候補ズラリ『日米大学』王者相手に堂々」です。

 私はこの試合に、とても興味がありました。それは、高校と大学の代表チームが試合を行って大丈夫だろうかという心配と疑問を感じていたからです。私が1985、1986年にハワイ大学野球部の臨時コーチを引き受けていた頃、監督のレス・ムラカミから、NCAA(全米体育協会)のルールでは「大学生と高校生の試合は禁止」と説明を受けていました。その理由は、実力差があり危険だからでした。もし大学生が投げる豪速球を打者である高校生が頭に受けて、救急車で病院にでも行くことになれば、監督やコーチの責任は如何か。スポーツ法学が進んでいるアメリカでは、どんな判決が言い渡されるか。アメリカの管理者、運営者、それに監督やコーチは、皆このことを知っています。

 1985年当時、アメリカンフットボールのヘッドコーチ(監督)が選手に、「次の練習を行うと怪我をする可能性がある」と選手に説明することなしにその練習を行い、選手に怪我をさせてしまいました。怪我した選手の保護者から、「監督はその練習をすれば選手が怪我する可能性が高いのに、その説明がなかった」として裁判となり、裁判では当然のように監督が敗訴となりました。指導者、即ち、監督・コーチは、選手に危険なことをさせる場合、必ず説明することが大切なのでした。

 大学日本代表には東洋大学の細野投手のように160キロ近くの剛速球を投げる選手がいます。このボールが高校生の打者に当たったら…と心配するのは、私だけではないでしょう。試合は8-0で大学日本代表選手チームの勝利。やっぱり。

 1969年5月から1971年8月まで、私はハワイで野球とソフトボールの試合を、約350試合プレーしました。ソフトボールでは、AJA上級リーグでプレーすると、そのすぐ下の組織であるアイカネ(友達の意)リーグでは、私のように上級リーグでプレーした選手は1チーム3人までしか出場することができません。それは、アイカネ・リーグの技術レベルを中の上から上の下のレベルで揃えて、そこの選手たちがファーストピッチ・ソフトボールを楽しもうとするからでした。更に、上級リーグでプレーする選手は、アイカネ・

リーグでは、投手は出来ません。このようなルールが、更にその下の組織にも同様のルールが用意されているのです。見事なピラミット型になっているのです。これはチームの技術レベルが同じだと、楽しい試合、そして、安全が担保できる試合になるからです。

 話は少し変わりますが、この夏、次のようなWEBリポートから掲載されました。引用します。「今年の夏の全国高校野球西東京大会に東京都では初めて、特別支援学校の生徒が出場しました。出場したのは世田谷区の『青鳥特別支援学校ベースボール部』。軽度の知的障害がある部員7人で、他の高校の野球部と連合でチームを組み、試合に臨みました、チームを導く監督は、約30年にわたり、支援学校の教員として障害のある生徒へ野球を教えてきた熱血監督。」(WEBリポート NHK>首都圏ナビ>より)

 この連合チームと対戦したのは、松原高校。試合結果は松原高校が23対19で勝利。特別支援学校の生徒7人はとても良い経験をされました。チームを率いた監督さんは、多くの気苦労があったことでしょう。この監督さんは、日本ティーボール協会常務理事の久保田先生。久保田先生!ナイストライ!

 一方で、私は上に述べたようにハワイ大学での経験があるので、力や技術の差は?、経験の深さと長さはどうか?、試合中、応援しながら、特別支援学校の生徒(選手)たち!大丈夫か?どうか怪我をしないでくれー。と願っていました。

 アメリカのNCAAと日本の高野連の運営者、管理者には、考えの違いがかなりあるように思われます。私は教育活動する上で、技能向上のトライする、夢を与えることも大切ですが、それ以上に、高校生の身体の安全、怪我からの予防を最初に考えなければならないと思っています。この問題、大きな事故、怪我人等を出さない前に、スポーツ法学の先生、スポーツ教育学の先生らに、今後の方向性を議論してもらう必要があるのではないでしょうか。

 今日は、高校と大学の代表チームが試合をして、私が思ったことを書いてみました。皆さんは、どのように思われますか。私の現役時代、早稲田大学大学院の講座は「スポーツ健康マネジメント」。そこでは間違いなく、この問題について議論したでしょうね。どうでしょう!興味のある現役の大学生・大学院生、ぜひ議論してください!

 加えて、この「理事長からのメッセージ」は、アメリカだけでも100人以上の野球・ソフトボール関係者がお読みいただいているとのこと。この人たちからもご意見を頂戴したいです。英語でOK。メールでお寄せください!宜しくお願いいたします!