11月4日 20年程前「探偵ナイトスクープ」に出演「シニア」を指導、「マクレ―」の名が良いのでは。明日「健康福祉の大会」です

 11月1日、「シニア」「マクレ―」「健康福祉」について書きました。今日はその続きです。

 20年程前、大阪ABC放送で「探偵ナイトスクープ」というテレビ番組から出演の依頼が来ました。関西では金曜日のゴールデンタイムに高い視聴率を誇る番組でした。研究室の電話を取ると「大阪ABC放送の00です。大阪に来て頂き『シニアソフトボール』で活躍中の『シニア』の方にピッチングを指導してもらえないだろうか」というもの。

 聞いてみるとその「シニア・ソフトボーラー」は、私が書いた「図解コーチ ソフトボール」(成美堂出版)1989年1月発行の読者だというのです。ABCの担当者は続けます。「読者は60歳代前半で所属チームでは第2投手、5歳上の先輩エースが素晴らしく、登板の機会が少ないのです。そこで著者の先生(私)から直接指導を受け、何としても上達したい、出場機会を増やしたい、大阪まで指導に来てくれないか」というものでした。

 私はソフトボール講習会では、若い競技者に対して、全国47都道府県へ何百回と指導に行きました。でも、このようにテレビが入り「シニア・ソフトボーラー」を指導するというのは、初めての体験です。迷いましたが、当時この番組は、視聴率が25パーセントを超えるお化け番組と聞き、高齢者(シニア)のソフトボールを普及させるためには絶好の機会と考え、大阪に行くことにしました。

 新幹線の新大阪駅に着くとABCの担当者の方が、お出迎え。事情は知っていましたので、その足で「シニア・ソフトボール球場」へ直行です。ABC担当者の意図は、その夕方と翌日朝の2回のピッチング指導で、その5歳上のエースに負けない投手にせよ」というもの。今考えると随分無茶苦茶な話です。私は、当然その気で大阪に行きましたので、早速指導開始です。

 ご本人とグラウンドで対面、そのグラウンドの中央には「シニア・ソフトボール球場」と書かれていました。初対面のその「シニア」の投手が、挨拶が終わるや否や、私に「この『シニア』というのが気に食わへんのや」とおっしゃる。私も京都の出身、その意味、そのニュアンスはよくわかります。「そやねえ、でも今日は思い切り『若返って』しっかりやりましょう。今日・明日と宜しくお願いします」と挨拶を返しました。

 いよいよピッチング指導、みるみる上達されます。笑顔が出てきます。私もかなりの手ごたえを感じていました。その指導ぶりを2台だったか3台のテレビカメラはしっかりと収めています。指導は足腰を安定にさせ、腕の回旋を楽にする。それによって、体力の消耗を少なくし、楽に投球できるようにしたのです。コントロールが一気に良くなりました。同時に速球もより速くなりました。

 約2時間、休み休みの指導が終了。それは明日の午前中も指導するからです。身体全体が筋肉痛になっては、明日の指導はできません。この指導後、吉本興業の石田さんが、私にインタビュー。何を聞かれたかはほとんど忘れましたが、私が石田さんに「あんた、背が高くて、男前やな」というと、「先生トークが上手いね」と笑いのプロに褒めて頂きました。お互いが褒め合って楽しい時を過ごしたのでした。このことはよく記憶しています。

 翌日の朝、再び指導。昨日この「シニア」の看板が嫌いだと言って苦り切った顔と、今日の顔は間違いなく違います。朝から笑顔で挨拶です。私は、確実に今日も実り多い練習ができるなと確信したのでした。2時間の休み休みの練習でも、成果は随分上がりました。ABC放送の担当者も納得の様子でした。

 約2か月後に放映。主役は勿論その第2投手。私が指導してから2週間後の公式試合も流れました。先発は勿論5歳上の投手、そしてリリーフになんと第2投手が出てきました。なかなかのピッチング、コントロールも良いです。投手の「様」になっています。その番組の中心人物は、西田敏行さん。彼もその周辺にいる人も、第2投手の成長ぶりに驚いている様子。東京にいる私も、どのような番組に仕上がっているのか興味津々。楽しい番組でした。良い思い出になりました。

 放送が終了した後、当時の日本ティーボール協会専務理事の末次義久さんから「先生!探偵ナイトスクープに出ていたね、面白かったよ」とお褒めの言葉。また、それ以外でも、京都の中学・高校時代の友人からも「お前!テレビに出ていたなあ」という電話を何本か頂きました。

 そこでの、私の強烈な印象は「シニア」は、大阪周辺の高齢者にとって、気に食わぬ「言葉」というより「響き」ということです。だから、私は、高齢者の別名に「シニア」という言葉は使用したくない、「マクレ―」で行きませんか、という提案を度々してきました。

 因みに、「高齢者の14インチスローピッチ大会」は、今「健康マクレ・スローピッチ・ソフトボール大会」として、続いているようです。これが普及すると「マクレ」というハワイ語が日本語となる日が近いかもしれません。

 今日は、高齢者のための「シニア・ソフトボール」(ファーストピッチ)と「14インチ・健康マクレ・スローピッチ大会」の思い出を書きました。高齢者にとっては、ソフトボールを継続してプレーすることに意義があると思います。是非皆さんそれを続けて下さい。もしその運動がきついと判断されたときは「高齢者のためのティーボール」があります。この球技は、休み休みプレーしても全く問題ありません、その人の特徴、体力、持久力、筋力、体調等に合わせてプレーを楽しむことができるのです。

 いよいよ明日がその「健康福祉の大会」です。参加者の「満面の笑顔」が見たいですね。