4月18日 佐々木朗希投手8回「完全」。井口資仁監督はじめコーチ陣等の佐々木朗希育成法にとても興味があります
ロッテの佐々木朗希投手が8回24人の打者を完全に抑えました。8回だけでいうと「完全」です。前回4月10日の登板日にはオリックスに対して105球で「完全試合」を達成。17回「完全試合+完全」。さすがに「令和の怪物」と言われるだけのことはあります。メジャーも更に注目していることでしょう。
昨日4月17日の日本ハム戦は、8回で102球を投げたところで降板。投球の内訳は速球が56球(前回は61球)、フォークボールが42球(前回は34球)、スライダーが2球(前回は2球)、カーブが1球(前回は2球)です。お分かりですか、またまた、速球を投げる確率が少なくなりました。打者は、更にどの球を打ちに行くか迷います。速球だけやまを張るのは難しくなります。投手にとっても、速球を沢山投げるよりも、球速が遅くなるフォーク、スライダー、カーブ等を投げると体への負担は少ないです。佐々木・松川の若手バッテリーはさすが超一流です。
打者24人に対して、奪三振は14個、内野ゴロは4個、飛球は6個でした。今回も球界屈指の好打者である近藤から、3打席の内2三振を奪いました。その内訳は、最初の打席は、ファール、ボール、空振り、ファール、ボール、最後は空振り三振です。2打席目は、ショートゴロでアウト。3打席目は、ボール、見逃しストライク、空振り、ファール、そして空振り三振です。これらの投球を振り返ると、前回のオリックス吉田選手との対決を思い出します。佐々木投手は、打者が凄い選手ほど、その実力を、本領を発揮します。
この試合を見た、元巨人軍の名投手西本聖評論家は、「ピッチングにも驚き、降板にも驚いた。2試合連続の完全試合に向け、8回を3者連続で締めくくった佐々木朗希投手が、9回のマウンドに上がらなかった。球数は102球。最後に三振に打ち取った真っ直ぐは163キロ。疲れていないわけではないだろうが、まだ余力があったように感じた。常人では理解できないし、実行できない。“育成プラン”。(後略)」と、日刊スポーツに記している。
私は、このロッテ球団の「佐々木朗希投手の“育成プラン”」に大変興味を持っている人間の一人です。ロッテの井口資仁監督と木村1軍投手コーチ、並びにこの育成プランに関わってこられている全ての人々の考え方に興味があります。プロ入りして1年目は、あれほど注目されていたのに、1軍での登板は無し、徹底的に体力づくりをさせたのです。これは物凄いこと。敬意を表します。井口監督!さすがは元メジャーリーガーです。ここのところの1年目の詳しい情報が知りたいのです。2年目は、じっくり間隔をあけて、疲労が蓄積しないようにして先発登板。この決断も素晴らしかったです。多くの機会で楽しませてもらいました。3年目の今年は、皆さんもご存知のように、中6日で登板、いわゆるサンデー・佐々木朗希投手です。
私が現役の頃は、プロ野球界のエース投手と言えば、両親から頂いた身体能力を最大限生かして、剛球を投げる、持久力を活かす、瞬発力を発揮するという投手が多かったのです。一方、素質のある投手が、投げ過ぎて肩を壊したり、野球肘になったり、ヘルニアになったり、足首や腰を痛めたりして、早々と野球をやめるというのはよくあることでした。速いボールを投げる投手ほど、その傾向が顕著でした。
現在では、選手の身体を大切にするという指導者がプロアマ問わず、実に多くおられます。佐々木投手が大船渡高校3年生の時、夏の甲子園出場がかかる地方大会決勝で、彼は、代打でさえも、出場できませんでした。時の国保陽平監督は、「この試合に出場すると佐々木君は故障する確率が高い、だから起用しなかった」というようなコメントをされたように私は記憶しています。その時私は、「この監督さん、甲子園を何と考えているのか、また、佐々木投手も行きたいのと違うんか」。あるいはその反対に、「この監督さん凄い、何と選手思いの魅力的な人なのか」と二つの考えを同時に持ち合わせました。この起用法に対して、何も言えない、また、何も言わない佐々木選手の心の中は如何か、家族の人たちの考えは、はたまた、その地域の応援団の人たちは?とも考えたりしました。
私は、競技者がまずは体づくりを行うことは、とても大切なことだといつも思っています。私が、1985年、1986年ハワイ大学で野球とソフトボールのコーチをしていた時、NCAA(全米大学スポーツ協会)加盟の大学スポーツ局に対して、アンケート調査を行ったことがあります。その中で私が最も聞きたかったことは、NCAA加盟の競技団体(運動部)は、どのように競技者養成をされているかでした。その結果、多くの大学のスポーツ局の回答が「選手への体づくり」でした。
アメリカでは、ヘッドコーチ(監督)の指導が悪くて、監督が選手に事故や怪我をさせてしまうと、その選手の親によって「ス―ユー」(訴えるぞー)と言われます。裁判になることもあります。裁判になった場合、当該の監督は多くのケースで負けます。「監督は選手を怪我させるのではなく、育てるのです」と、諭されます。監督は、選手により高い技術を習得させようとするならば、体力、持久力、柔軟性、瞬発力、筋力、遠投力、走力等の基本的運動能力を、高めてあげることが大切なのです。こう考えると、井口監督は、目先の勝利のみを追求するのではなく、佐々木投手自身の、ロッテ球団の、否、日本やアメリカ、世界の野球界を考えての育成法をやられているといえるでしょう。
佐々木朗希投手が時間を掛けて、大谷翔平選手のような立派な体になったら、それはそれは物凄いことになるでしょうね。将来が、めちゃくちゃ楽しみです。
私は、井口資仁監督、並びに佐々木朗希投手の育成に関わっておられるこの方針に大賛成です。次回の登板は4月24日ですか。その日の来るのが、またまた楽しみです。