6月25日 ベースボール型球技・「ローテーションソフトボール」「ローテーションベースボール」を紹介します

 今日のベースボール型球技の紹介とその解説は、「ローテーションベースボール」「ローテーションソフトボール」です。私が早稲田大学で41年間ソフトボールの授業を担当した時、年間授業数約30コマから25コマとして、その半分の15コマ前後は練習の単元で「投げる、捕る、走る、打つ、の指導」を楽しく行います。それを終えた後はいよいよ4チームに分けてのリーグ戦、真剣勝負です。最初のリーグ戦はスローピッチ。優勝チームから4位迄しっかり決めます。盛り上がります。そのリーグ戦が終わると次にファーストピッチのリーグ戦に入るのですが、待てよ。ここで2、3週間「間」を取ります。ここで、前出の「ローテーションソフトボール」を2、3回行うのです。これは、先のスローピッチでリーグ戦を行っていると、学生が決まったポジションしか守らない。守らせてもらえない。スターティングメンバーに関しては、チームの主将に指名した上級生5年生か4年生に任しているので、3、2、1年生は口を出せません。分かりやすく言うと、ライト(右翼手)を守る学生はいつもライト。投手の学生はいつも投手なのです。

 これを解消させられるのが「ローテーションソフトボール」です。「ローテーション」とは、野手が一回ごとに守備位置を変わるのです。1回に投手に入った学生は、2回は捕手、3回一塁手、4回二塁手、5回三塁手、6回遊撃手、7回左翼手、8回中堅手、9回右翼手となるのです。1回に右翼手に入っていた学生は2回は投手です。1回が捕手なら2回は一塁手です。

 もしそのチームが10名であれば、1回が監督さんであれば一塁コーチャーズボックスに、2回は投手。3回は捕手。11人であれば、11番目の学生は三塁コーチから、2回は一塁コーチ、3回は投手。このように皆役割を持たせてそれぞれのポジションでプレー(仕事)をさせ、考えさせるのです。ただ授業中、投手に入った学生がストライクが入らない時があります。その時はその学生が1回か2回打者に四球を出すと、他のストライクをとれる学生と交代するという特別ルール。ルールはザッとこんなもので、他はソフトボールと同じです。

 これは、日本の高校野球では、投手の背番号が1、捕手2、一塁手3、二塁手4、三塁手5、遊撃手6、左翼手7、中堅手8、右翼手9と決められているので、プレーする学生はよく知ってます。これが、アメリカだとそんな背番号のつけ方はしません。皆自由、いわば早いもん勝ちで、自分の好きな番号を我先にと着けます。従って、アメリカを始め日本の高校野球の習慣を知らない国の選手にこの「ローテーションソフトボール」を教えるときは大変です。二塁手の後は遊撃手に入ります。

 さて、この「ローテーションソフトボール」の試合を経験した多くの学生は、いい笑顔をします。彼らはいろいろなポジションでプレーしたいのです。投手ではダルビッシュ、遊撃手坂本、またある時は、一塁手村上、捕手炭谷、になり切りたいのです。指導者としては授業だから学生がエラーをしてもノープロブレム(問題なし)。初めての守備位置でプレーするとその守備者の難しさ、役割が分かるのです。学びになります。

 皆さん、機会があるときこの「ローテーションソフトボール」を参考にして、「ローテーションティーボール」を試みてください。子どもの潜在能力の高さに圧倒するときが必ずあります。子どもの魅力が分かります。「ナイストライ」になるでしょう。そういえば、バレーボールは、きちんと「ローテーション」しますよね。参考になります。「ローテーション」しない以前の「9人制バレーボール」は今ほとんどプレーされていません。

 大学の授業では「ローテーションソフトボール」が終わったら、最後の約4週間は「ファーストピッチ」のリーグ戦をしました。そこは実力のある者が目立ちます。それはそれでいいのです。「ローテーションソフトボール」を経験した後だから、誰がどのポジションに向いているか、皆が理解しているからです。

 ティーボールの指導において、上記の「ローテーションソフトボール」の紹介と解説が、皆さんのお役に立てれば幸いです。「ベースボール型球技」は、日本中本当に多くの楽しみ方があったのです。経験した指導者が、今子ども達に笑顔で伝えることが大切だと思います。