7月28日 日本もアメリカも「金」では なぜ「王座決定戦」がないのでしょうか

 「上野締めたソフト『金』」産経新聞の一面トップ。各新聞は、上野、上野です。本当に上野さんは凄い投手。100年に出るか出ないかの日本人投手。上野の389球、上野号泣、朝日新聞だけが上野さん+後藤さんの名も。それは、「ソフト『金』未来へつなぐリレー 上野から後藤 区切りの東京で快投」と。後藤さんこれからの女子ソフトボール界をよろしくお願いします。

 改めて選手、関係者の皆さん、おめでとうございます。私も皆さんの先輩として本当に嬉しいです。昨日は初めから最後までテレビで試合を観ました。これまで初回から最終回までしっかり観るのは、新聞、雑誌、ある企業からの原稿依頼の時だけでした。義務がなく自由に観たのは、これが初めてです。そのため、様々な角度でこの大会を考えました。その中で、最も印象的だったのが、新聞社が書かないこと、即ち試合の対戦表です。今日はこれについて少し書きます。

 ソフトボールの経験豊富な私の立場でいうと、アメリカと日本の試合は1勝1敗なのに日本が金でアメリカが銀。これがすっきりしません。上位二チームの試合で、1勝1敗同率なら日本もアメリカも金。これが分かりやすいのでは。でも、大会前の決め事なのでしょう。変更することはできません。昨日の試合に勝った方が優勝で金メダル。一昨日のアメリカの勝利は、何なの?です。

 アメリカや日本での対戦は、トーナメント戦、リーグ戦、敗者復活戦とこの3つのスタイルが多くもちいられます。日本では、トーナメント戦が一般的です。甲子園の高校野球大会や高校総体、インカレ等ほとんどの大会が、この形式です。一方、日程にゆとりがあれば、リーグ戦総当たりも。これはアメリカでも日本でも多くの競技で採用されています。

 アメリカのソフトボール大会では、敗者復活戦、ページシステムという戦い方が一般的です。これには様々なスタイルがあります。一般的なのは、1回戦に負けると、ルーザー(敗者)グループに回り、その1回戦敗退グループで、数多く試合をこなし、最終的にはウイナーグループの順調に準決勝戦まで勝ち上がってきたチームと試合をする。ルーザーから勝ち上がってくると数多くの試合を戦っているので、順調に勝ち上がってきたチームと試合をしても、選手の疲れがひどく、ウイナーで順調に上がってきたチームになかなか勝てません。1回戦で負けたチームにも数多く試合をさせ、いい思い出を作らせるためのシステム。私は男子ソフトボールのワールドシリーズ本大会7回ハワイ予選大会8回計15回選手を連れてアメリカの大会に行きましたが皆だいたいこのスタイルで大会を運営しています。敗者復活戦は「皆に試合を」という考え方の上に立っています。

 今回のソフトボールの試合形式、敗者復活戦の狙いや意図が分かりません。6チームが5試合総当たり、いわゆるリーグ戦。これだと優勝はアメリカが金。日本は2位で銀。それでオリンピックソフトボール競技は終了です。多くの競技団体がオリンピックでは、この方法を採用しています。もし、この度のように敗者復活制度を採用するなら、私は、昨日この「理事長からのメッセージ」で記述したように、1勝1敗になった時点で、もう1試合「王座決定戦」を行う必要があります。当日、時間にも余裕がありましたから。

 アメリカでその日のうちにソフトボールの2試合行うときは、1試合目は7回戦。2試合目は5回戦と決められています。(野球の場合は1試合目が9回なら、2試合目は7回)この制度を踏襲するなら、昨日、7回日本が勝利した後、1勝1敗。30分後か1時間後にもう1試合「王座決定戦」を行う。その勝利者が真の金メダリストです。

 以上が私のこの大会運営上での意見です。誤解しないでください。日本のソフトボールの金メダルを祝福する気持ちは人一倍あって、ケチをつける気は何一つありません。上野さんはじめ全ての関係者は本当によくやってくれました。感謝ばかりです。

 パリの後、7年後のアメリカのロスアンゼルス市、そして、11年後の2032年オーストラリアのブリスベン市でオリンピックソフトボール競技が復活するときは、皆さんいい知恵を出し合ってください。よろしくお願いいたします。