9月30日 稲盛和夫著「生き方」-人間として一番大切なこと-(サンマーク出版)は、私のゼミの教科書の一つでした。

 今日は9月30日。月末になると、毎月恒例になった万歩計の確認です。本日15時30分の段階では7593歩。今月の総計は310127歩。今月も一日平均1万歩を超えました。満足です。秋を思わせる気候になると、ウォーキングは快適です。来月も頑張ります。
 1ヵ月前の8月24日、京セラとKDDIを創業、日本航空(JAL)の再建に尽力した稲盛和夫氏が老衰のため、90歳で天国に行かれました。稲盛氏は、27歳で京セラを立ち上げ一代で大企業に育て上げたのはあまりにも有名です。稲盛氏は、鹿児島大学工学部を卒業後、京都の松風工業に就職、その4年後、1966年に京都セラミックを創業されたのでした。その12年後には、大阪証券取引所第2部、京都証券取引所に上場。本人は、鹿児島の出身であるにも関わらず、京都を大切にしてくださいました。1984年には私財を投じて稲盛財団を創設され、科学・芸術分野の業績を顕彰する「京都賞」を創設されたことでも有名です。
 さて、その稲盛氏と私はどのような接点があったのか? 結論から言うと全くありません。ただ私は、稲盛氏の「生き方」にとても影響を受けました。その証というか、大学教授時代、私の「健康福祉マネジメントゼミ」の学生に、稲盛和夫著「生き方-人間として一番大切なこと-」(サンマーク出版)を、必ず読ませました。
 「生き方」は、当時わが国では不朽のロングセラー。刊行10年で100万部を突破する勢いでした。海外では11か国に翻訳され、中国でも当時110万部売れたと報道されていました。その内容は、先ず、プロローグ 第1章 思いを実現させる 第2章 原理原則から考える 第3章 心を磨き、高める 第4章 利他の心で生きる 第5章 宇宙の流れと調和する あとがき と続きます。以下に、私が付箋を貼った所を紹介します。
① 混迷の時代だからこそ「生き方」を問い直す
② 自己を厳しく律しつづける「王道」の生き方をせよ
③ 寝ても覚めても強烈に思いつづけることが大切
④ 細心の計画と準備なくして成功はあり得ない
⑤ あきらめずにやり通せば成功しかありえない
⑥ 努力を積み重ねれば平凡は非凡に変わる
⑦ あふれるほどの夢を描け、人生は大飛躍する
⑧ 知っているだけではダメ、貫いてこそ意味がある
⑨ 現場で汗をかかないと何事も身に付かない
⑩ 「好き」であればこそ「燃える」人間になれる
⑪ リーダーには才よりも徳が求められる
⑫ つねに内省せよ、人格を磨くことを忘れるな
⑬ どんなときも「ありがとう」といえる準備をしておく
⑭ うれしいときは喜べ、素直な心が何より大切
⑮ 働く喜びは、この世に生きる最上の喜び
⑯ 日々の労働によって心は磨かれる
⑰ 労働の意義、勤勉の誇りを取り戻そう
⑱ 「他を利する」ところにビジネスの原点がある
⑲ 世のため人のためなら、進んで損をしてみる
⑳ いまこそ道徳に基づいた人格教育へとシフトせよ
㉑ 結果を焦るな、因果の帳尻はきちんと合う
㉒ 不完全でもいい、精進を重ねる事こそが尊い
㉓ 悟りを求めるより、理性と良心を使って心を磨け
㉔ どんなちっぽけなものにも役割が与えられている
㉕ 人のあるべき「生き方」をめざせ、明るい未来はそこにある
 本書の「あとがき」には、次のように記されている。「本書のタイトルとして掲げた『生き方』とは、一個の人間としての生き方のみならず、企業や国家、さらには文明あるいは人類全体までを視野に入れています。なぜなら、それらはいずれも一人ひとりの人間の集合体なのだから、そのあるべき『生き方』に、何ら差異はないはずだ。私はそう考えているからです」と。
 「生き方」からは、人の生き方、組織の在り方、運営の仕方、日本ティーボール協会のあり方、人と人との付き合い方、「生き方」に記述された上記の項目から、様々お教え頂きました。マネジメントを教える教員としては、最高の教科書に一つでした。
 「生き方」の本以外では、「従業員をやる気にさせる7つのカギ」(日本経済新聞社出版部)や「賢く生きるより辛抱強くバカになれ」(朝日新聞出版)、山中伸弥ノーベル医学・生理学賞受賞者との対談書等を読みました。そのほとんど全ては、とても印象に残るものでした。また、稲盛氏は、65歳で仏門に入られ、更にご本人自身に磨きを加えられたのは有名な話です。京都では古くから、「一家の中で一人が仏門に入るとその家族は3代栄える」と言う。これを、私が子どもの頃母から聞いたことがあります。
 「生き方」を私のゼミの教科書の一つに選んだことは、今さらながら正解だったと思っています。学びは多いです。
 稲盛和夫先生!多くの示唆に富んだ名言の数々を誠にありがとうございました。
 心からご冥福をお祈り申し上げます。