2月5日「ルール解説21(6-10 ⑧打者が、打撃時にバットをバッターズサークル外に意識的に放り投げたと球審に判定されたとき。)

 この項は、日本式ティーボールのルールを制定するとき、最も深く、長く考えたルールの一つです。なぜなら、野球やファーストピッチソフトボールでは、このルールはどこにもないからです。しかし、アメリカの数あるスローピッチソフトボールの連盟の中に、これに近いルールを制定しているところがあります。ご存じのように、アメリカのスローピッチソフトボールの統括する団体は大きなところで4,5連盟あります。また、その連盟の中でも、男女混合(コエド)でチームを作って試合を行うとき、男子(女子)だけで年齢は関係なしで行うとき、60歳以上だけの選手、70歳以上だけの選手で試合を行うとき等と、それぞれきめ細かくルールが制定されています。それは性差、年齢、技量、実力に合ったルールにして各選手に、安全で、楽しくプレーしてもらうためです。そのルールの中に、「打者が意識的にバットを放り投げたと球審に判定されたとき、打者はアウト」としている連盟があるのです。

 私は、子どものためのベースボール型球技ではこれを採用するべきと判断しました。
 野球やソフトボールで、打者のスイングの後、バットが無意識に飛んでいく方向は、右打者だと三塁方向、左打者だと一塁方向です。所謂、打者の手から「すっぽ抜け」た状態で、飛んでいくのです。これが、ネクストバッテングサークルの中にいる選手、ベンチの中にいる選手にケガをさせる可能性があります。これを未然に予防のために、このルールを制定したのです。

 【注】 ある大会で、打者が打った後、バットがバッターズサークルから外に出ただけで、「打者アウト」にしていたのを見かけました。これは、このルールの趣旨からすると少し違うように思われます。「ルール1 競技場」で、説明したようにファールラインから、競技場境界線までは、8m以上としています。次打者以外では、打者からベンチの中いる選手までは、8m以上離れているわけです。そこで、上記のように「打者アウト」にするのは違和感があります。打者がヒットを打って一塁を回っているときに、バットがバッターズサークルから出ただけで突然「打者アウト」では、一瞬何が起こったのかと思ってしまいます。

 ただし、大会の試合でなく、学校の校庭や体育館で行われるゲームは、一塁、三塁の各ファールラインから境界線まで8mない場合、この特別ルールは、尊重されるべき大切なアイデアの一つです。