4月23日 地域や職場で「ティーボールのイベント」を!日本野球連盟の大英断

 4月19日から22日までの4日間、親子のボールあそびについて書きました。そのキーワードは、「ボールゲーム」「柔らかいボール」「投げる」「走る」「取りに行く」「捕る」「再創造」でした。それにティーボールでは、「打つ」が加わります。これらの言葉を使用して、「親子の遊び」を考えると「親子の楽しいレクリエーション活動」ができます。これが将来のベースボール型の体育に合致する運動に通じるのです。

 このような「レクリエーション活動」は、学校や家庭だけでなく、今後は地域、職場等でも必要となるのです。

 今日は、これら上記のキーワードを大切にした地域の大きなイベントについて紹介します。それは2015年7月23日東京ドームで開催した「お母さんとチャレンジ 第1回ティーボール教室IN東京ドーム」です。このイベントは、開催時間は、1時間30分と短かったですが、そのイベントを開催するまでにかかった日数と時間はその数十倍です。この企画を最初に私に持ってこられたのは、公益財団法人日本野球連盟の当時専務理事であった野端啓夫氏でした。都市対抗の決勝の日の午前中に行いたいとのこと。対象は、「幼児とお母さん」幼児にお兄ちゃんお姉ちゃんがいる場合は小学生1、2年生も可というものでした。日本ティーボール協会としては、野球関係者にその存在を知ってもらう最高のチャンスと考え、私は二つ返事でOKしました。野端専務の話では、幼児を最低でも200人前後集めたい。そして地元の文京区には話はつけてあるとのこと。幼児が200人集まれば、そのお母さん、場合によればお父さん、おばあちゃん、おじいちゃんが来られるだろう。600人、700人と集まりとてつもなく大きなイベントになるなというのが私の第一印象でした。

 成功させるカギはこのイベント1時間30分にお母さんや幼児に「ティーボールは楽しい」。これを体で体験させること。幼児から笑顔を取ることでした。

 まず私が考えたのは、幼児ができるだけ数多く「打つ」こと、先ずこれにはまらせること。ティーボールでは「打つ」。これが絶対必要と考えました。そしてその打った後はそのボールを「取りに走る」、そのグループは必ず9名、一人が一回打つと打った打者はそのボールを取りに走る。「打ったら走る」「野球は9人」ということを知らず知らずの間で教えることにしました。

 子どもだけで打つ、子どもだけで走る、親は子どもが楽しそうに走り回るのを見て喜んでもらう。もし時間があれば、お母さんタイムを用意して何回か打ってもらう。保護者はあまり幼児の近くに来させない。すぐ写真を撮りの来ることが予想できるからです。親子の距離は近すぎないようにしました。「おじいちゃん、おばあちゃんの待機場所」も用意してもらいました。幼児が中心。これを大切にしたかったのです。

 さて、ここまでは野球の「打つ」「走る」は確保できるのですが、「投げる」「捕る」をどうするか、難しい課題でした。これは、受付9時から9時45分の間を利用することにしました。この「投げる」「捕る」をこの受付・開場時間を利用することは、日本野球連盟の野端専務、崎坂さん、佐藤さんの同意を頂きました。この時間は、ドーム球場に入るや否や、お母さんと幼児のキャッチボールタイムです。それが母と子で上手くできない時は「女性の野球かソフトボールの経験者と幼児」の二人一組で行うとしました。

 大枠のことが決まりましたら、次は多くの指導者が必要です。幼児二人に対して指導者一人は必要と考えました。幼児を指導するというのは難しいのです。そこで交渉したのは株式会社ジャクパ。幼児体育の指導を専門とする会社の重役の方々にです。全面的に協力をしてくださることになりました。次は、女性の指導者。幼児との触れ合いは男性よりも女性のほうが慣れていることが多いため上手です。すぐに女子プロ野球の責任者に連絡を取りこれも大変なご厚意を頂けることになりました。まだまだ指導者が足りません。そこで体育系の大学、幼児教育課程を有している大学の女子ソフトボールの部長さん、監督さんに了解を取り、最終的に合計60人から100人の指導者を確保したのです。確保するだけでは、このイベントは成功しません。その前に講習会を片っ端から行ってティーボールの指導者を養成していったのでした。

 当日は、予想を大きく上回り約2000人の母子並びにその関係者が集まり、盛大な教室となりました。ここでも我々日本ティーボール協会の子ども好きの指導者がほぼボランティアで来てくれました。とても心強く思いました。一人として子どものけが人を出すわけにはいかないからです。(翌年から丸山克俊先生が加わり、参加者も1000人程度としました。それは子どもの安全が一番と考えたからです)
 第1回の「公式プログラム」を下に貼り付けます。

 この教室の主催は、公益財団法人日本野球連盟。 共催はNPO法人日本ティーボール協会。また、後援は、一般社団法人日本野球機構、一般財団法人全日本野球協会、毎日新聞社。更に、協力としてナガセケンコー株式会社、株式会社ジャクパ(ジャクパ・スポーツクラブ)、一般社団法人日本女子プロ野球機構でした。

 これが、何と秋の「社会人野球日本選手権大会」(京セラドーム)でも休日の午前中に日本野球連盟は開催してくださったのです。これも当時の野端啓夫専務理事の大英断でした。今でも感謝・感謝です。この両イベントを多くの野球連盟、ソフトボール関係団体、業者さんたちが見学にまた視察にお見えになり、各地域、各職場で広がっていきました。

 2018年3月18日、甲子園球場で「センバツ・キッズフェスタ」が開かれ、小学生90人がティーボールを経験。主催したのは公益財団法人日本高等学校野球連盟でした。また、公益財団法人日本ソフトボール協会は「あそボール」という名で幼児に対してそのソフトボールの底辺拡大に努力し始めたと聞いています。嬉しいことです。本当に喜ばしいことです。

 「打つ」「捕る」「投げる」「走る」そしてそこで人々の「創造力」「野球愛」「ソフトボール愛」を総合して考えると上記のような凄いイベントが考えられるのです。そして、実行できるのです。

 今後は、野球やソフトボールの底辺拡大を真剣に考えるのであれば、学校だけのベースボール型ティーボールの体育に頼るのではなく、日本野球連盟が率先して企画されたように、それぞれの野球並びにソフトボール団体・連盟・協会が、このような地域を巻き込んだ野球。ティーボール関係のイベントを行うことが必要となるのです。

 レクリエーションでは、学校レクリエーション、家庭レクリエーション、地域レクリエーション、職場レクリエーションの4つの領域に分かれて論じられることも多いです。

 ティーボールも「学校」や「家庭」だけでなく、今後はもっともっと「地域」や「職場」で普及させること大切となりますね。