6月27日 アメリカのティーボール(その1)。アメリカで考案された「TEEBALL」の紹介。

 アメリカのティーボールは、1988年にIBA(国際野球連盟)とISF(国際ソフトボール連盟)が協力して、野球やソフトボールの入門期の子ども達のために「TEEBALL」を考案しました。使用するボールは、硬式野球のボールを少し柔らかくしたもの、バットは金属製(アルミ製)を使用、頭部には必ずヘルメットを着用する。正にリトルリーグの年齢層の低い子どもを対象として行う球技でした。

 私は、アメリカで出版された「MINOR LEAGUE AND TEEBALL」、「THE LITTLE LEAGUE GUIDE TO TEEBALL」、「COACHING TEEBALL」、「LEHREFT ZUM TEEBALL PROGURAMM」、「THE LITTLE LEAGUE GUIDE TO TEE BALL」等を参考にして、以下のように「アメリカのティーボール」を「ティーボール入門」(20ページから23ページまで)に紹介しています。

1 アメリカ・ティーボールの紹介

 リトルリーグプログラムは、子ども達が早い時期から、基本的な野球やソフトボールの技術を容易に習得するために考案されました。このプログラムによって、子ども達は、“ティーボール”に親しみ、仲間と一緒に楽しくプレーすることができます。またプレーを通して技術の向上を図ることが出来、やがては野球やソフトボールの醍醐味を味わうことが出来るでしょう。

 野球やソフトボールにおいては、ピッチャーはストライクゾーンに正確にボールを投げることが要求されます。ところが、たいていの4~8歳位の子ども達は、正確にボールを投げることはもちろんのこと、その打球を打ち返すことが出来ません。その練習を強いるということは楽しんでプレーできないばかりか、苦痛となってしまうことも多いのです。このような点を配慮した上で、このティーボールが考案されました。

 打者はバッティングティーの上のボールを様々な方法で打つという動作を繰り返すことによって、腕や目を上手に使いながら、スイングテクニック(打撃技術)を養うことができます。また、守備者にとっては、守備技術を養う絶好の機会に恵まれることになります。幼い子ども達は、このティーボールを通して、野球やソフトボールの様々な技術を学び、楽しくプレーできるようになるでしょう。

 ティーボールプログラムを、有効なものにするためには、何より監督やコーチの人選に慎重であるべきです。リーダーは子ども達に多大の影響をあたえるからです。ティーボールを子ども達に指導する上で、最も大切なことは、“忍耐”ということです。野球やソフトボールの打撃、投球、守備、走塁の各技術を向上させるための練習は、先ず楽しくなければなりません。この観点から、打つ、投げる、捕るという基本の動作を素直に自発的に向上させるために、有能な大人が指導し、子ども達の意欲を育てることが何より大切なのです。

 ティーボールの素晴らしさは、プレーを繰り返しながら、子ども達が自発的に学び、野球やソフトボールを楽しむことに目覚めていくことです。忘れてはならないことは、ティーボールのプレーヤーは、発達段階にいる子ども達だということです。子ども達が積極的に学び、その変化、向上する姿に、大人たちは感動を覚えることでしょう。

 以上のように翻訳し、「アメリカのティーボール」を分かりやすく、纏めてみました。次は、その規則と競技性を紹介します。

2 アメリカ・ティーボールの規則と競技性

1.選手 

 ①アメリカのティーボールは、4歳から8歳までの幼児と児童を対象に計画されたものである。②8歳の児童は、他のリーグ(マイナーリーグやリトルリーグ)でプレーすることは出来ない。(ティーボールは、4歳から8歳までスポーツとして考案されました)

【注】「いつでも、どこでも、誰でも、できる楽しいティーボール」は、日本独自のものです。アメリカのティーボールは、上記のように、4歳から8歳までの子どもしかプレーできません。

2.チーム

 ティーボールの登録人数は、原則として1チームにつき15名とする。

3.投手と打者

 ①打者は、投手が投げたボールを打つのではなく、バッティングティーの上に載せたボールを打つ。②ボールを投げる投手は必要としない。

4.スケジュール

①ティーボールの試合のスケジュールは、理事会によって準備される。大会形式は、グラウンドの数や質によって計画される。②1日にプレーできるゲームは、1試合のみである。③リーグ内で、順位をつけることは認められない。

5.用具と服装

①全ての打者、走者、次打者は、保護用ヘルメットをかぶらなければならない。②捕手は、マスク、ヘルメット、レガース、ネックカラー付きの胸プロテクターを必ず着用しなければならない。③男性の捕手は、それらに加え、プラスチックか金属、あるいは人口繊維で作られた保護用カップを着用する。

6.入場料 

①ティーボールの試合においては、入場料を徴収することは出来ない。②しかし、観衆等による寄付は認められる。

7.賞

①打撃成績や守備成績などの技術で評価された賞を、選手に送ることは出来ない。②ただ、シーズン終わりに、選手に参加証明書、あるいは参加証を送ることは問題ない。

8.グラウンド内での礼儀

①選手、監督、審判、そして連盟役員は、何時も礼儀正しい行動が義務づけられる。②選手、監督、コーチ、審判は試合前、試合中、グラウンドあるいはダッグアウトかベンチにいなければならない。(以下略)

 アメリカの規則には、このように様々な規定が位置づけられています。日本式ティーボールと根本的に異なる点は、ボール、バット、ヘルメットの着用義務、男性の捕手の保護用カップの着用です。

 私は、このような服装による重装備での球技、並びに学校の校庭で使用できない硬いボールと金属性バットでは、日本において、アメリカのティーボール(TEEBALL)を普及させることは難しいと判断したのでした。

 ただし、日本でも必要と判断したルールについては、多くの所で参考にしました。それは、将来、ティーボールを通して子ども達の国際交流(日米対抗戦等)を行うとき、ルールや用具のすり合わせが、必ず重要となると判断したからでした。

 続く。