6月29日 アメリカへ(その2)。ジョージ・ブッシュ大統領父子がティーボール普及に協力。父は国際連盟共同名誉会長に、子はホワイトハウスに球場。

 1998年2月号の「ベースボール・クリニック」(ベースボールマガジン社発行)において、「『国際ティーボール連盟』設立に向けて-海部会長とブッシュ前大統領のフレンドシップ-」というタイトルで、当時の丸山克俊専務理事、マーティー・キーナート常務理事、水上喜由理事と私の4人は、連名で寄稿した。

 日本発ティーボールをアメリカへ普及させる一つの作戦。その記事の内容を、以下に紹介します。

1「日本ティーボール協会の“ティーボール”~日本発・世界へ~」という小見出し。 

その内容は、アメリカのTEEBALLは、リトルリーグに参加する前の小さな子ども達が対象、しかし、日本発は、「いつでも、どこでも、誰でも、できる」もの。昨年(1997年)12月に日本ティーボール協会のホームページを立ち上げ、インターネット配信をスタートさせたところ、1日当たりのアクセス数が160件、その半数は国外からのものであり、アメリカを筆頭に約20か国に及んでいます。

②国際ティーボール連盟の設立構想。

内容は、役員の間では、「国際ティーボール連盟」設立の構想が話題になり始めました。もし、国際連盟を設立することになった場合には、海部会長が内閣総理大臣在任中のときのアメリカ合衆国大統領であり、学生時代は、エール大学の野球部主将としてもご活躍されたジョージ・ブッシュ前大統領に、会長もしくは名誉会長をご依頼できないものかと、真剣に考えるようになりました。ティーボールを通して、“世界平和”に貢献しようとする私たちの願いを、より正しく追及するのに最適任の人物であると考えたからです。

③海部会長の決断。

海部会長のもとに、ブッシュ前大統領から「ブッシュ記念館」開所記念式典(11月)への招待状が届きました。そして、その際に海部会長が、「国際ティーボール連盟設立準備委員会委員長」として、前ブッシュ大統領に対して、“名誉会長”就任要請をすることが決断されました。“まさか”と思っていたことが、海部会長の決断によって現実味を帯びてきました。

④国際連盟規則の作成。

次なる作業は、吉村正副会長と丸山克俊専務理事がその草案を作成し、2か月に3回の割合で開催している役員会で検討し、10章34条からなる規約を作成しました。(略)規約の条文には、国際連盟の基本理念がその行間に込められています。

⑤海部会長出発。

10月の末に、海部会長と打合せをしました。その結果、国際連盟規約は、あらかじめブッシュ前大統領にFAXで送信することとなり、その他の関係資料は、当日、海部会長が持参してお渡しすることになりました。(略)国際連盟の設立の意義について、おおむね以下のように要約して纏めました。

 1.誰でも手軽にできる「(日本式)ティーボール」を通して、国際的友好親善及び国際平和に貢献できる。2.地球的規模で、青少年の健全育成を図ることができる。3.地球的規模で、身体障害者と健常者のスポーツ交流を積極的に推進することができる。4.ベースボールの底辺拡大に寄与し、ベースボールの更なる国際的普及、発展に貢献できる。(なお、英文への翻訳については、マーティー・キナート常務理事が担当しました。ブッシュ前大統領への見事な英文であったことは、いうまでもありません)

⑥海部会長・ブッシュ前大統領のフレンドシップ。

海部会長が帰国した後、ブッシュ前大統領から名誉会長就任要請を受ける旨の私信が届きました。以下に、ブッシュ前大統領から海部会長への手紙を翻訳したものを紹介します。

                GERGE BUSH   

                           1997年11月8日

 親愛なる俊樹へ

                 (前略)

 国際ティーボール連盟の件で提案させていただきたいことがあります。「共同名誉会長」という名称ではいかがでしょうか。どなたかと一緒に「名誉会長」を務めさせていただけると幸いです。残念ながら、私には陣頭指揮をとるにはあまりにも時間の余裕がございません。もし、私の提案がなんらかの理由によって受け入れられなくても、それは十分に理解するところです。

 私の名前をお貸しすることにより、国際ティーボール連盟プロジェクトのお力に是非なりたいと考えております。けれども、各種行事への出席は残念ながら難しいと思います。貴殿と同様、スケジュールが過密であり、最近は特に制約が多くなってきたからです。

                 (後略)

 心を込めて

 ジョージ・ブッシュ

 以上でした。

 上記の手紙をジョージ・ブッシュ前大統領から頂き、日本ティーボール役員会では、早速「共同名誉会長」をお務め頂ける方の人選に入りました。そこでは、当然のように、満場一致で海部俊樹日本協会会長にご就任頂くことになりました。それは、ジョージ・ブッシュ前大統領から返事を頂いた3か月後の1998年1月のことでした。

 それから、3年4が月後、アメリカからティーボールのビッグニュースが、テレビ、一般紙やスポーツ紙から飛び込んできました。それは、前大統領のご子息であるジョージ・ブッシュ現大統領が、ホワイトハウスの中庭に、子ども達を集めて「ティーボール(TEEBALL)」の試合を開催したとのことでした。

 これをAP通信は、「小学時代から野球が好きで、大リーグのチームのオーナーだったこともある大統領は、『この第一歩がすべての年代の人たちに野球への興味を駆り立ててくれれば』と期待を語った。ホワイトハウスの庭での試合は今後も続く予定だ」と伝えていました。

 続く。