6月6日「決定権がわれにある倖 村上評議員(朝日新聞・俳壇より)。決定権を有する人物は、多くの意見を聞き、謙虚に!」

 昨日6月5日の朝日新聞、11面、「朝日 歌壇 俳壇」に日本協会村上敏之評議員の以下の「句」が紹介されました。

    ジョギングをけさはやめるか迷いつつ決定権がわれにある倖(さち)

             (西条市)村上敏之

 どうですか。私は3回読みましたが、味があります。そこで、なぜこの句が選ばれたかということで、この句は「高野公彦選」とあります。その「評」を見ると、次のように解説されています。

 「戦争する、しない、の決定権がないロシア兵とウクライナ兵が戦う」のを密かに悲しんでいるのかも

 これでこの「句」の素晴らしさが、理解できました。選者の先生は、ここまで読むのか、凄いなあ。これが私の第一印象でした。

 村上先生は、1985年3月から1986年4月迄、私がハワイ大学客員教授で日本を離れている時、早稲田大学ソフトボール同好会(現在のソフトボール部)の監督をお願いした人物です。第一文学部卒業後、埼玉県の高校教員としてご活躍。その後、愛媛県の高校で長く教鞭をとられ、最後は地元の名門高校の校長先生として、周年行事の大役を見事に終えられてご退職、現在に至っておられます。大学時代は、4年生の時に映画監督にも挑戦されていました。勿論、ソフトボール部の監督をお願いするほどですから、野球・ソフトボールは並の選手ではありません。

 村上先生の結婚式の主賓は、愛媛県、西条高校から慶応大学でエース、その後読売ジャイアンツのエース、そして監督まで務められた藤田元司氏であったことを記憶しています。慶應ボーイ、カッコ良かったです。ボクシングの三迫ジムの社長も同席。確かお二人は、村上先生の父上と西条高校の同級生だったとか。村上先生親子と野球のつながりは、深く長いです。

 早速、村上先生の自宅に電話しました。母上が電話にお出になり、「先生!朝日新聞のあの小さな記事によく気づいてくださいました。ありがとうございます」、「今、敏之は一家で出かけています。帰りましたら、電話させます」といったもの。その後、村上先生と電話で、この「句」について話し合いました。「この選者の先生!物凄いね。ここまで、深読みしてくださるのですか」と私。村上先生は「2、3か月前、ウクライナについて一句読んだのですが、それは選外になりました、それを踏まえて、選んでくださったと思います」という返事でした。「そうか、これも、継続は力か」。

 さて、人の指示で、やらされる怖さ。無力さ。反対に、自分が決断できる幸せ。これについては、昨日・今日と随分考えました。

 昨日は、一日中グラウンドで、早稲田大学ソフトボール部の指導、午前練習の男子部、午後練習の女子部、いずれもこの「決定権」についての話題を取り上げ、ミーティングしました。女子部のコーチには、この「句」を3度読んでもらいました。合わせて「評」も。そこで理解できたかと学生に質問すると、多く部員が理解していました。男子部監督は、「句」を解説した部員に「素晴らしい説明です!」と褒めていました。私からすると、学生の解説も立派。そこですぐさま、その解説についてお褒めの言葉をかける監督も、凄い。

 最後の「さち」は、幸福の「幸」でなく、「倖」ですよ。私はこの「区別、差」が詳しくわかりません。これには、説明した学生も、考え始めてくれました。その後、再び男子部監督から「今朝、先生がこの小さい記事を見つけられたのですか。それがスゴイですね」。煽てられた私は「退職者で、朝時間がありましたから」と照れました。

 男子部も女子部も、監督やコーチには練習のメニューを決定する権利があります。その場合、慎重です。部員、特に主将や4年生から意見を聞き、それを尊重しながら物事を決定します。暴走はしません。だから、彼や彼女は、多くの人から尊敬されます。決定権を有している人は、謙虚でなければなりません。

 本日は、13時から事務所の会議です。参加者は8人。会議次第は、①総会について、②講習会で使用する教本について、③「理事長からのメッセージ」出版に向けて、④全国大会に向けて、⑤事務局連絡等が主です。この中で、事務局だけで決定できること、出来ないこと。役員会で決定できること、総会にかけねばならないこと、様々あります。これは民主主義の基本です。定款・規則・ルールに則って、事を進めて行かねばなりません。理事長は多くの方々から意見を聞き、謙虚であって、物事を慎重に進めて行かなければなりません。

 今、事務局では、「公認指導者認定講習会及び認定試験についての内規」の文言の訂正・改正に向けて、事務局(案)の作成に全力投球中です。それは「TTA初級公認指導者規定」の項目、4 カリキュラム。(1)講義 ① ティーボール概論(これは従来通り) ②オフィシャル・ティーボール・ルール解説(時間短縮の議論) それに、先般の役員会で、了承して頂いた「スポーツ・コンプライアンス概論」の原案作りです。

 この件は、総会で提案します。内規の改正は重要です。手続きは丁寧に、きちんと行います。提案した時は、皆さんからのご意見をいただきたいと思います。

 昨日の愛媛県選出の村上敏之評議員の「句」を見つけて、決断できる喜び、加えて、決断する人物(理事長・教授・先生・監督・コーチ・社長・保護者等)は、常に冷静で、多くの人たちの意見を参考にすることの大切さを、再認識いたしました。