9月7日 パラリンピック閉幕 感動の連続でした 「全ての人が共生できる未来への始まり」(アンドルー会長)

 9月5日に、第16回夏季パラリンピック東京大会が閉幕しました。大会では、162の国・地域(ロシアは個人資格での参加)と難民選手団を合わせ、過去最多の約4400の選手が参加。その閉会式で、アンドルー・パーソンズ会長は「今夜は閉会式というより全ての人が共生できる未来への始まり」と述べました。新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期となった大会は、一部で小中学生による「学校連携観戦プログラム」を実施したものの、感染対策で全21会場が原則無観客となっての開催でした。私は閉会式も、開会式同様全てテレビにかじりついて観ました。パラリンピックの全てが興味深かったです。大会運営の仕方、選手の活躍、選手の指導者、選手周辺の方々の偉大さ、ボランティアの皆さんのご貢献、本当に多くの事を学ばせて頂きました。ありがとうございました。

 最終日の競技では、金メダルを獲得された女子マラソンの道下美里選手、バドミントン男子シングルス梶原大暉選手、バドミントン女子ダブルスの里見紗李奈・山崎悠麻両選手素晴らしかったです。銀メダルの車いすバスケットボールの活躍も感動を覚えました。残り6分5点差を守れませんでしたが、アメリカをあれほどまで苦しめるとは、凄いことです。立派としか言いようがありません。

 中でも私は梶原選手に注目していました。彼は中学2年生の時までは地元福岡の軟式野球チームの投手。野球の練習に向かう途中、交通事故にあい、右脚を切断、左脚にも障害が残り、車いす生活になられたとか。高校に入り「中学までの野球が活きるスポーツ」ということで「用具を用具で打つ」球技、このバドミントンを選ばれたのでした。決勝の相手は、梶原選手は憧れでもあり目標としていた世界選手権4連覇中の金正俊(韓国)選手。結果は、野球の経験を活かし、大番狂わせでの大金星。誠におめでとうございます。素晴らしい、感動しました。

 早稲田大学人間科学部で、「セラピューティック(治療的)・レクリエーション」あるいは「福祉レクリエーション」という科目を担当していた私は、この大会がコロナ禍であっても、沢山の方々が様々心配されていたとしても、それを乗り越えての開催は、結果として多くの事で、学びあり、感動もしました。「パラリンピック」も専門分野の一つでしたので、書きたいことは山ほどありましたが・・・。

 ここでは一つ「選手への愛と感謝」。「選手からの愛と感謝を気持ちよく受け入れること」。

 選手の保護者、選手の学校での友達、選手のご近所の理解者、選手の仲間、学校の先生および理解者、会社の仲間・理解者、選手の監督・コーチ、選手の家族。一方、大会関係者では、運営に携わった方々、組織委員会に方々、多くのボランティアの方々、テレビを観た方々、新聞等で読んで感動した方々、このパラリンピックの話題で盛り上がって会話が弾んだ方々。本当にこの東京パラリンピックから多くの方々が勇気と感動を頂きました。そして忘れてはいけません。大切な宿題も。

 アンドルー・パーソンズ会長が閉会式に語った上記の言葉「全ての人が共生できる未来への始まり」。これです。

 我々日本ティーボール協会では、「いつでも、誰でも、どこでも、楽しくできる日本式ティーボール」を創作しました。これはいまさら言うまでもなく野球型球技です。この中で「誰でも」という部分は、極めて大切です。パラリンピックからの学びは大きいです。我々は車いすの利用者が打つ場合、1塁と本塁の間は通常の距離の半分としています。ベースを置かずラインを石灰か水で引くだけ、バリアーはありません。そしてその広さは通常のベースの約4倍です。

 目の不自由な方には、音の出るボールを用意して、思い切り打ってもらう。守備者が着くときはあまり弾まないボールにする。その他多くの特別ルールを沢山創りました。また、選手間に運動能力の差がある時は、長い打球を打つ人は、比較的飛ばないボールをティー台に置く。反対に短い距離しか打てない人には、良く飛ぶボールをバッティングティーの上に乗せる。前者にはボールを比較的飛ばせないバットを、後者にはその反対にボールを飛ばせるバットを使用すると様々考えてルールや用具を創りました。

 誰でも楽しめるルールを考案したり提案したりする場合、選手の「プライド・誇り」これは絶対守らなければなりません。以前、この「理事長からのメッセージ」でも書いたように、「リ・クリエイト」(再創造)です。想像して、考えて、そして実践して、また想像して、考えて、実践して、この繰り返しです。このようにすれば、結果として、選手も大会運営者も、それを観る人も楽しくなるのです。これらのことを、多くの競技で観られたのが東京パラリンピック大会でした。

 東京パラリンピック大会関係者の方々のご努力に対し心から「お疲れ様」と「ありがとうございます」を申し上げます。